転 男転がし
始まった。
メイドの眼差しから、鳶色のとろけるような視線が発せられ、浩一の全身を激しく揺さぶった。 ズシッと、浩一の心臓が鼓動を強く打ち始めた。
メイドは、浩一と見つめ合ったまま、浩一を誘うように、目をうっすらと閉じて、シグナルを送っている。
途端に、メイドから、淫らなオーラが満ち溢れ、浩一は、いても溜まらず、メイドに引き寄せられるように、イスを立った。
近づいてくる浩一を見つめながら、メイドはゆっくりと前を向いてゆく。
メイドの鳶色の瞳が見えなくなるのを、恐れるように、浩一は斜め後ろから迂回しながら、メイドに近づいていった。
メイドが完全に前を向いた時、浩一はメイドのうなじに、息が届くほどの距離に引きつけられていた。
「み、ミサトさん!」手がワナワナと、ミサトの背中に触れる寸前で、ドスッ、と、ミサトの肘が浩一の鳩尾にひじ鉄を食わした。
「ウブ! 」息が止まるほど見事に決まった。
同時に(パリン)と、鋭い音が床に砕けた。
ひじ鉄を入れた拍子に、ミサトは、手にしていた皿を落としたのだ。
「う、うぅぅ」
割れた皿などどうでもよかった。
「あっ! もう、ぼっちゃま〜」
もろに入った! 浩一は目の前が暗くなる、ひざを突きそうになるのを、メイドがあわてて、支える。
「み、ミサトさん、いったい、どうして? 」
「ごめんなさいね〜 痛い? 」
ミサトは謝ってはいるが、言葉に気持ちは込められていない。
「う、だ、大丈夫。軽く当たっただけだから・・・」
軽い一撃のはずはなかった。ミサトは故意に一撃を放ったのだから。(フフフ、けっこう我慢強い方ね。 これなら・・・)
「驚かさないでくださいな〜」
そう言ってミサトは、床にしゃがんで、割れた皿を丁寧に拾った。
浩一の股間にメイドの顔がくっつきそうだった。
シンボルがムクムクと、ズボンを突き上げてゆく。
ミサトはチラリと視線を当てて、羞恥心を煽ってやった。
「あ、す、すいません、あ、あの、 」
浩一も慌てて、破片を拾おうとして、かがむと、メイドのスカートの奧に視線が釘付けになった。
ミサトがじっと、浩一に視線を注いでいる。
目が合う。浩一は耐えられなくなって、視線を逸らした。
「座っててくださいな」ミサトが鼻先で笑って、浩一をたしなめた。
(始めるわよ? フフフ)
チラリと浩一と視線を合わせると、ミサトはサッと立ち上がり、シンクに立って、浩一に背中をむけた。
ミサトは笑っているが、どうも機嫌が悪いようだ、そのくせ、浩一を挑発してくる。
浩一は、なんとか、機嫌を直しもらおうと、もう一度近づいた。
慎重に近づいて、メイドの後ろに立つ。
「み、ミサトさん、あの・・・」
後ろから覆い被さるように、近づい来た浩一に何ら関心を示す風もなく、ミサトは食器を洗う手を止めない。
「またお皿が割れちゃうわよ。 フフフ」
そういって、ミサトはヒップをツイッと浩一の股間に突き出した。
「うっ」
「フ、もう、堅くして・・・」
ミサトは前を向いたまま、ヒップで浩一の股間を嬲る。
関節の柔らかいミサトのヒップはクネクネとよくしなり、
薄いサテンの生地を通して味わうヒップの感触は格別だった。
「何か話しがあるんじゃないの? 」
ミサトのヒップが堅いシンボルをポンポン、とノックしてくる。
「う、あ、あの、」
柔らかい、適度に弾力があり、股間が張り裂けそうになる。
「なあに? 」ミサトは前を向いたまま、甘い声で先を促す。
「早く言ってくださいな」肩越しに振り返って、流し目を送ってやる。
「あ? え、その、怒ってるのかと思って・・・ 」不機嫌なのか、そうでないのか、確信が持てなくなっていた。
ただ、いじの悪いゲームをしているようにも感じた。
大人の女は、浩一のような若い男をからかったり、苛めて楽しむことがある。
若い男を困らせるのを楽しんでいるのかもしれない。
「どうして?」ミサトの質問責めには、毎度、毎度のことながら、
答えにくいことばかりだった。
「今朝のこと・・・う、」言葉の途中で、ミサトのヒップがダンスをするように、くねりだした。
妖しい動きに浩一はふんばって、答えた。
「今朝? なんのことをおっしゃってるの?」矛先をはらうように、ミサトは軽く質問を返した。
「お、怒ってないの?」
「何に怒っているのかしら? 」振り返って、じっと、浩一を見つめる。
「え、分からないよ、」
会話の内容はよそに、ミサトの腰はゆったりとくねりながら、浩一の欲望を揺さぶっていた。
「ちょっと機嫌が悪くみえたので・・・」頭が熱く、だんだん、会話がどうでも良くなってきた。
「そう、機嫌はよくないわね」初めてミサトは質問に答えた。
背を伸ばし、首をひねって、浩一を仰いでくる。
間近で見る、鳶色の瞳が浩一をグッと射すくめる。
腰、背中、髪の毛、全てが、浩一にピッタリと寄り添ってくる。
浩一を悩ますミサトの匂いが、頭の中を淫らな衝動を激しくかきたててゆく。
「今朝のこと、パニクってしまって、」ハァ、ハァ、と肩で息を乱して、
「あら、それだけだと思っているの? 」
「え、ど、どうして? 」
「女の勘、」
メイドは今朝の浩一の対応は、もちろん不満だったが、看護婦に嫉妬しているらしい。
浩一は驚いた。本心は定かではないが、メイドは若い看護婦にイラついているらしかった。
浩一はあえて、若い看護婦のことは口にせず、メイドにあやまった。
「ぼっちゃまをお世話するのはこのミサトですから。 お忘れにならないでくださいな」
「うん、」
浩一に念を押すと、メイドは機嫌がよくなったようだ。
クスクス笑いながら、腰をくねらせ、浩一のズボンのテントを更に淫らなテンポで擦り始めた。
「いけないぼちゃま・・・」
「看護婦にここを堅くして・・・」
「フフフ、オシオキヨ・・・」
「ぼっちゃまは、お仕置きを受けなくちゃいけないわ」
歌うようにミサトは言葉を繰り返した。