夜になってもメイドは一向に帰る気配がない。
浩一にお風呂を勧めるがもう、時間は9時をまわった。
「あの、本上さん、 」 浩一は落ち着かず訊ねた。
「あら、わたくし、住み込みなんですよ。ここで寝泊まりさせていただいてますの。旦那様のご希望もあって、そのように契約を更新して、もう2ヶ月ほどになりますかしら」
「えっ」浩一は耳を疑った。今時、こんな人がこんなことってあるのか。 「こんな立派なお屋敷に住まわせていただいて感謝していますわ。住み込みといっても、自分の時間はきちんといただいてますし・・・」 メイドはなんの不足もない、とでもいうように満足気に言ってのけた。
浩一はシャワーを浴びることにした。
脱衣室は四畳半ほどで、そこは例の不思議な香りで満たされていた。作りつけのラックに小さな香炉がぽつんと置いてあった。
うっすらと煙が上っている。匂いはこのお香だった。
何のために?
ランドリーワゴンにバスケットが三つ用意されていた。
三つのうち、二つは空で、一つはタオルなどで一杯になっていた。
服を空いているバスケットに脱ぐとバスケットから良い匂いがした。メイドの香水の香り。香水はタオルで一杯になった隣のバスケットからする。
メイドが使ったようであった。
浩一はタオルを一つとると、匂いを嗅いだ。湿っている。汗を拭くのに使ったのだろう。女の汗と体臭が香水に混じって、浩一の雄の部分を刺激する。たまらない。
ひたひたと、廊下をこちらに向かって近づいてくる足音に
浩一はタオルをバスケットに戻すと、浴室に飛び込んだ。
メイドが来たのだ。「ぼっちゃま〜、失礼します」
メイドが脱衣室に入ってバスケットを片づけているようだ。
「着替えをお持ちしましたのでお使いくださいね」
「脱いだ服はお洗濯にまわしますが、よろしいでしょうか? 」
「ええ、お願いします」 かしこまりましたぁ
浴室のガラス戸にぼんやりとうつるメイドの姿。
浩一は自然にふるまおうとして、シャワーのコックをひねった。
さっと体が思いもしない刺激にこわばった。
冷たい、水だ。しばらく待ってもシャワーは水のままだった。
こわれているのか。浩一は隣室のメイドに声をかけようとドアに向き直った。
「あら、故障かしら、 」
えっ? 入浴中の浩一は突然そばから声をかけられ、驚く。
いつからそこにいたのか、控えめに開けられた戸口にメイドが上半身を覗かせていた。いたずらっぽい笑顔で笑っていた。
浩一は思いもよらない展開にあわてて、背を向けた。
「すぐに給湯器を見て参ります」メイドはさっと出ていった。
しばらくして、水はお湯にかわった。 浩一はほっと一息つくと、しばらくそのままシャワーの下に立って汗を流していた。なぜか、今日に限ってシャワーの水流の刺激がシンボルに心地良い。
先ほど手にしたメイドの使ったタオルの匂いに刺激を受け、半分勃起したままである。勃起したシンボルは手で撫でてやるとうっとりするような快感があった。それは、みるみる堅くそり始めた。
浩一はいつになく感じやすくなっている。普段の浩一にはありえないことだが、出したくてしかたがなかった。我慢する自信がなかった。ここなら後始末も楽だ、抜いておこう。
そう一人ごちて、ゆっくりと自分のシンボルを扱く。浩一は浴室で自慰行為をするのは、これが初めてである。こんなに気持ちよくなるとは知らなかった。
そこへ戻ってきたメイドが脱衣室から声をかけてきた。
「出ましたか? 」ドキッとさせるようなタイミングであった。
浩一は全身が金縛りにあったように動けなくなり、扱くのを中断した。「だ、大丈夫です」浩一は一つ高い大きな声で返事をした。
メイドの仕草一つ、一つ、が、自分を刺激するようで、心が乱される。早く一人にしてくれ! そう心の中で叫んでいた。
浩一が答えると、「失礼します」と、カタッとドアが開き、メイドが入ってきた。裸足でピタピタと浴室の浩一に近づいてくる。
「え? 」目を丸くして驚く浩一にメイドはニッコリとしながら、「お風呂のお湯加減をみておきましょう」と、背中を向けて固まっている浩一を通り過ぎて、メイドは浴槽に手を浸す。「あら、少しぬるいかも・・・」そういって追い炊きをセットしながら、お湯も足す。湯気があがり、ムッと湿度が増す。
浩一はイライラとしながら、憮然とした態度でメイドを追い出したいところだったが、今の状況ではそうしたい気持ちも萎えてしまった。
大胆な行動に浩一は身の置き場のない全裸でただ立ちつくすのみである。バスタブに片手をついて浴槽内の湯加減をみるメイドのヒップのふくらみ、スカートの中から伸びる生足に沸き上がる、淫らな衝動を浩一は必死で抑えつけた。
肩越しにメイドは浩一に悩ましい流し目をくれると、とろけるような笑みで、「あら、ふふ、わたし気にしない方ですから」浴室内でメイドの声はエコーがかかり耳にとても心地よかった。
浩一は、はしたないシンボルを隠すように背を向けたまま慎重にイスに座った。
「ぼ、ぼくが気にします」
「お背中をお流ししますわ」
メイドの目が一瞬キラリ、と瞬く。
「じ、自分でしますから、 」「旦那さまにもさせていただいてますので、お気遣いなさらずに」
蠱惑的な眼差しでじっと見られるとなぜか逆らえない。逃げることも、はねつけることもできず、年下の浩一はメイドのなすがままだった。「メイドにお気遣いは無用ですわ。さ、 」
メイドはまったく意に介さず、浩一の背後に立つと、浩一に前をむかせた。 そして、せなかにシャワーを浴びせると、ボディソープをスポンジにたっぷりと含ませ、背中を洗い出した。
ザラザラとしたスポンジの感触が心地よかった。
「何かスポーツをしてらっしゃいます? 」
浴室内にメイドの声が心地よく響く。
え?
「いい体格をなさってますが」
メイドが浩一の背後にピッタリと被さるように立ち、
ゴシゴシと洗ってゆく。「あら、こんなところにひっかき傷、痛かったですか?」
そういって、メイドは浩一の背中に白い指を這わせる理由を見つけると、性感を刺激するように、指を肌にすべらせてゆく。浩一の筋肉がピクピクと反応する。
(ふふふ、性感がお目覚めのようよ。どうかしら? )
(感じちゃうの? )
浩一はうろたえた。メイドの石けんでぬめった指が巧みに背中を這い回る感触に肌が粟だった。指というよりも、いくつもの舌でねぶられているような妖しい感覚であった。
「え、え〜と、 」
必死に平静を装う浩一だが、
その指先の旋律に、男のシンボルがみるみる反応しだした。
「あ、あの本上さん」
「はい? 」
「お香のような、あれはなんですか? 」
メイドは指先の旋律を続けたまま、こともなげに
「あぁ・・・あの匂い? あれは・・・・・・虫除けです」
「虫除け? 」「ええ、蚊取り線香のかわりです。旦那様は蚊取り線香の香りがお嫌いなので、外国から特別に取り寄せた品ですわ」
「匂いは独特ですよね。旦那様のお気に入りです」
外国にも蚊取り線香があるとは初耳だった。しかし、こともなげにそう聞かされると、それ以上訪ねる気はなくなってしまった。
それよりもメイドの洗い方が気になってしょうがない。
メイドの指が浩一の背中から臀部に這い回る。指使いは洗う、ではなく、愛撫に等しい。たっぷりと泡をまぶされ、指先のなめらかな感触とともに泡がしたたり落ちてゆく。泡までが愛撫するように、ねっとりと浩一の臀部をにつたい、その割れ目に流れてくる。
自分の分身は、目を伏せる浩一にぴくぴくと何かを話しかけてくるように動く。
メイドも浩一もそれ以上は何も話さず、浴室内の男と女は息づかいを交わすように寡黙になった。メイドはそのまま浩一の真横に移動すると、まぶしくしっとりと潤いをたたえた、白い太股を惜しげもなく浩一の視界にさらした。そのまま浩一の横に足を開いて軽くしゃがむ。
夏の暑い中、汗をかいたメイドのもっとも奥の匂いが、ふんわりと浩一を包む。うっとりと、その香りを嗅覚で感じながら、視界の端に男の視線を誘うような暗がりが感じられた。
浩一の瞳はその暗がりにグイっと、視線を引きつけられてしまった。スカートの奥は暗く、脚は中心から伸びている。
その中心がうっすらと青白い光沢をはなっていた。
メイドは白い下着を履いていた。複雑なレースの施された、ツルツルの生地で出来た、扇情的なパンティだ。
その光沢を放っている小さなデルタは浩一の網膜を傷つけるほど、挑発的であり、攻撃的だった。パンストを脱いで、素足になった、長い脚が折り畳まれ、はち切れんばかりの量感を誇示しながら、浩一の太股にかすかに擦れる。
石けんで滑りやすくなった肌が触れると一気に妄想は爆発した。
なんて気持ちいい肌触りなのか。この肌を全身で感じたい。
(ほら、やせ我慢しないの。みてごらん。あなた、好きでしょう。こういうの。ほら、もっと見るがいいわ)
メイドが遠慮するな、とばかりに更に脚を開き、肌を擦りつけてくる。ツルツルとしたメイドの太股のきめ細かい肌が、浩一の火照ってきた肌にヒンヤリと心地よい。
「あの」
「はい? 」
メイドがしらじらしく浩一の表情を覗き込む。
「いえ・・・」
浩一はメイドの視線から逃れるように、自分の顔色を伏せた。
メイドはいつのまにかスポンジと指先を交互に使い分けてきた。
スポンジでザラリと皮膚を擦って、強く感覚を刺激したあと、
ぬめった指先で優しくねぶるように、撫でてくる。
感覚がそのたびにはっきりと目覚め、だんだん快感のシナプスのみが掘り起こされ、むき出しになってくるようだった。
(ふふふ、奥まで見えるかしら。ふふっ、反応してきたようよ。どうするつもり? )
浩一は自分のシンボルがこれほど憎らしく思ったことはないほど、恥ずかしい思いを味わっていた。
シンボルは自分の意志に逆らい、迸りを要求する。
必死にメイドの視線から隠そうとするが、隠すものは何もない。
羞恥心に押しつぶされそうになりながら、黙って耐えるしかなす術はなかった。
腰掛けた浩一の真横でメイドは浩一の腕を洗ってやる。
反対に周りもう片方の腕も・・・
夏の真っ盛りに浴室内は湯気も立ちこめず、視界ははっきりしている。ムッとするシャワーの湿気と汗によってメイドの匂いは一層強く、浩一の嗅覚を刺激した。メイドは今や風呂椅子に座る浩一を包むようにがっぷりと覆い被さり、服こそ着てはいるものの、お互いの息づかいが届くほど肉体を寄せ合っていた。
脚を洗おうとしてメイドが浩一の脚にグイと手をかけると浩一はがんとして、脚を動かさなかった。
「あら?」
メイドから浩一のシンボルが恥ずかしい状態になっているのは丸見えである。肌を擦るスポンジとシャワーの音、浴槽に満ちてゆくお湯の音・・・・・・その中で小さくメイドが漏らした声は浩一の胸に突き刺さった。
「・・・・・・」激しい羞恥心が全身を熱くし、気が遠くなるようなのぼせ感がある。しかし、浩一はメイドの視線を感じれば、感じるほどに心の奥底から巻きあがるような興奮を感じた。
浩一はうつむき加減に頭をたれ、目を伏せていた。
顔は赤く、茹でた蟹の甲良のようだった。
チラっと浩一の表情に視線をくれると、
メイドは中腰になり、浩一の背後に移動してしまった。浩一の視界の片隅で一瞬、メイドが薄笑いを浮かべたような気配がした。
メイドが背後からスポンジを滑らせてくる。
脇から滑り込んでくるスポンジを持つ手が浩一の胸を洗う。
空いたもう片方の手は浩一の胸を撫でるように滑らせてきた。
たっぷりと泡を含んだそれをぎゅっと絞ると、白い泡が大きな一塊りとなって、ダラリと浩一の肩から胸、腹部、その下、堅くそそり立つシンボルへと、垂れてゆく。
メイドはもう一度スポンジにソープをたっぷりと含ませると、
今度は浩一の股間に直接泡を垂らしてきた。ボタボタと亀頭に泡が降り注ぎ、亀頭は白い泡に包まれてゆく。
亀頭を包んでゆく、白い泡の刺激に浩一は魔法をかけられたように黙ったまま、背後から覆い被さるメイドの息づかいを耳元に感じていた。メイドも無言である。浴槽からお湯があふれ始めていたが、二人とも溢れるままにまかせ、その流れ出すお湯の音たけが、浴室内に小さく響く。
スポンジを置き、再び両手を這わせてくる。その指先が浩一の脇から胸、腹部に舌先が這うような感触で蠢く。
その動きはひどくゆっくりで、浩一が淫らな妄想にとらわれるゆとりを残酷なほど与えてくる。
(メイドは自分を挑発している)浩一はそう確信していた。
こちらからも仕掛けたいところだが、今はこのメイドの意図が読めない。しかも、この指先の旋律に性感が翻弄され、動けない。
しらじらしく、指先が乳首をかすめると、浩一はひくっと、息を乱す。同時にシンボルも哀れなくらい大きく反り返ってくる。
メイドの指が指の腹でゆっくりと小さな乳首を転がすように弄ぶ。メイドの指先に浩一の乳首が堅くなってくる感触が伝わってくる。
ニヤリと浩一の背後でメイドは唇の端をつり上げた。
指先はゆっくりと胸から腹部、その下へと這い降りてきた。
浩一の堅いシンボルまで、あとほんのわずかのところで、それは焦らすような動きを見せた。
浩一のシンボルはお預けをされたペットのようにぴくぴくとメイドの指に向かって、催促をしている。
しかし、その指先は結界に遮られたようにそれ以上は進んでこない。浩一は焦れて息づかいは完全に乱れ、ハア、ハア、と肩で息をしていた。
「いい躯しているのね・・・」
ぼそっと聞き取れないほど、小さくメイドがつぶやく。
シャワーをかけて泡を流す際、メイドの手が浩一のシンボルをかすめた。指先を揃えて根本から先に羽のように軽くこすってきた。明かに故意である。
ジーンと気の遠くなるような疼きがシンボルの根本から先端に向けて走る。
(う、ううっ)
浩一は挑発され、からかわれている屈辱感と、怒りにも似た性的衝動に駆られ、これ以上の我慢はできなくなってきた。
(この女が悪い。やってやる!)
そう、心の中で決心した瞬間、全身の筋肉に緊張が走る。
「はい」
さっと、浩一の目にスポンジを持った手が突きつけられた。
「前のほうはご自分でどうぞ」
メイドは浩一にスポンジを受け取らせると、緊張にこわばった浩一にとろけるような笑顔を注いで、機先を制した。
真っ赤な顔で引きつった表情の浩一を尻目に、くすくすと笑いながら、メイドは浴室を出ていってしまった。
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2002年1月6日更新部へ