転 男転がし
「いいお顔ね・・・」
ミサトは浩一の父に跨ったまま、腰を使って黒い凶器をグリグリと頬や唇、鼻に押しつけ、陶酔と不安の入り交じった獲物の表情を滅茶苦茶に歪めて弄んでいる。 下着越しではあるが、女の雌しべが異常に熱く潤んでいるのが胸に浸みてくる。 雄を発情させてやまない、ミサトの匂いが胸一杯に溢れ溺れそうだった。 ミサトは新しいお遊びに、浩一の父を執拗に誘っているのだ。 初めて使われる赤いジェルは、薬品の匂いがきつく、吸い込むと思わずむせてしまうほどであった。 ミサトの雌しべの匂いではない、香水でもない、この赤い透明なジェルの新しい効果が現れた。 全身が熱く火照り、筋肉が怠くなってくる。 心拍が激しくなった。体全体が充血するような膨張感に激しく疼き出した。 先に味わった黄色いジェルが皮膚を熱くさせ、毛穴の開いたところへ、この赤いジェルを使われると、それは、肌を易々と通り抜け、内臓深くまで染みこんでゆく。筋肉から意思が抜け、くすぐったい痺れにまったく力が入らない。 顔まで緊張が解け、だらしなく緩んでゆく。
抜け出した意思や力は、内側の或一点にだけ集束した。 そこは、生成り色のドロドロとした欲望が石膏のように固まり、これ以上ないほどに勃起していた。 気の狂いそうな情欲の炎がメラメラと立ち昇り、目の前に跨る女の雌しべに食らいつきたくなる。 ミサトの目つきが、トロンと弛緩している。頬はほんのりと赤く上気し、淫らな気分に浸っているようだ。 この戯れは両刃の剣。ミサトも少なからず影響を受けているようだった。
「どこをごらんに?」ミサトが鼻にかかった声で、意地悪く咎めた。 「これから、犯されるというのに、どこをごらんになってらっしゃるの?」小首を傾げ、思わせぶりにスカートの裾を指でつまみ上げる。 「・・・メイドのオマンコが食べたいの? 」鋭い視線でねめつけてきた。 スカートの奥に股間は見えるが、あいにくディルドーがじゃまになって望みの景色はなかった。 「食べたい?」ミサトが更に迫った。スカートの裾をディルドーにひっかけ、全てを晒した。 ミサトの二本の指がディルドーの下に潜り込みディルドーを上に起こすと、ディルドーのすぐ下のベルトは割れ目が施してあった。その奥にミサトそのものが見えた。薄いショーツは濡れて透けていた。ミサトの指がそれを指に引っかけて横にずらした。ピンクの花びらがキラキラと潤っている。 ミサトが更にその花びらを開く。目がつぶれそうだった。
「やってごらん? やれるものなら、やってごらんなさいな」ウットリとした眼差しで見下ろしながら、腰をクイクイと前後させてミサトは挑発した。 それは寝言のように、低く呟かれた。浩一の父はむしゃぶりつこうと、頭を起こして口を大きく開いた。 が、ミサトが指を離すと、ディルドーは倒れ、浩一の父の顔に向かって突き出され、それを許さなかった。 口を開こうものなら、真っ先に喉の奥までミサトのシンボルが突っ込まれた。
「オグェ!」吐き出そうとする浩一の父の頭髪をミサトが乱暴に掴んで固定した。「フフッ! そらっ、ひっかかった!」
「ウヴェェエ!」病人のように貧弱化した筋力では、とうていミサトの腕力には抗えない。首がはずれそうになった。
「フンン? いかが? ディープスロートって言うんです! されたことはあっても、するのは初体験でしょう? 」ミサトが無情にグイグイと腰を使う。 浩一の父は顔を真っ赤にして苦しんでいる。
「それとも、旦那様は既に?」クスクスと笑いながら、腰を前後させる。 「ブェエエ〜」浩一の父は聞くに堪えないえづきをあげた。 「ほらほら、何度でもしゃぶって慣れてもらいますから。 これからは、わたしに言われなくても、舐めて滑らかにするマナーをきっちりと叩き込んであげるんだから」
あまりにも、ミサトが容赦なく突き入れるので、浩一の父は大きく仰け反って吐き出した。
「ウブェェ〜〜」
「あらあら・・・まだまだ教育が必要なようね・・・」ミサトがもう一度ディルドーにタップリと赤いジェルをなじませる。
「もう一度しゃぶってちょうだい!」潤滑剤のしたたる巨大なディルドーがズンと目の前に突き出される。
「うげぇ〜〜」無理矢理口を犯す。顎がはずれそうになるほど、太い逸物がヌルヌルと喉の奥を突いてくる。
「フッフフフ、そら! チュ〜〜〜ッって吸い込むのよ! そう、上手よ、慣れたら吐き気も気にならなくなるでしょう? 」ミサトがやいのやいのとはやし立てる。 浩一の父は半分観念した心境で、ミサトが喜ぶように積極的に舐めしゃぶった。
「あらあら、なぁに、上手じゃない! どうして? わたしがして差し上げたのを思い出してらっしゃるの? アァ〜、イイワァ、旦那様はとっても筋がいいわ、女みたい。 ちゃんと舌をつかってる? そうそう、わかってらっしゃるわ! 」
浩一の父の予想通りにミサトは喜んだ。
「もう充分よ・・・」そう言って口からシンボルを引き抜くと、ミサトが浩一の父の下半身へと、ジリジリと移動してゆく。跨ったまま、腰を擦りつけながらディルドーが遠ざかりつつあった。 ミサトがもう一度扱く。タラリとジェルが垂れ、浩一の父の胸に軌跡を描いている。ディルドーの先端をツツツッと体に滑らせながら獲物の反応を楽しんでいるようだった。浩一の父の胸に真っ二つにナメクジが這った跡のゆうな軌跡が描かれてゆく。 その軌跡は、ヒリヒリと熱く皮膚を疼かせてゆく。 ミサトのシンボルと浩一の父のシンボルが並んだ。明らかにミサトのシンボルが勝っていた。
大きさ、太さ、迫力において。
「ウウウウ・・・」浩一の父は逃れようとするが、体の要を縛った紐が食い込むだけで、その様は、炎天下のアスファルトに落ちた芋虫のように、狂おしく体をよじらせるのみであった。
「み、ミサトお姉様、お願い、ですから、や、やめてく、ださい」熱にうなされたように懇願した。
「は、入るわけ、があり、ません! し、死んで、しまいます。」
「入るか入らないかはやってみなくちゃ、わからないでしょう?」
目線を合わせず、浩一の父のシンボルにじっと視線を落としたまま、ミサトはつれない態度をとった。
「絶対に無理いぇす!」赤いジェルの効果でくすぐったくて笑いがこみ上げてくる。 こんな状態で懇願しても、まったく説得力に欠ける。 言葉とは裏腹に喜んでいると思われそうだった。 イヤなのに、顔がほころんでしまう。 ミサトがディルドーを股間にくぐらせようとしている。
「ひゃ〜〜〜〜」必死に体をよじって逃れようとするが、ミサトに馬乗りになられてはそれもままならない。 振り落とそうとしても、力が出ない。全身が痺れてくすぐったかった。浩一の父はそれでもジリジリとベッドの端へと移動しつつあった。半身がベッドの端から乗りだしている。 ミサトはニヤニヤしながら、それをおかしそうに見下ろしていたが、何も言わず、突然、浩一の父から降りた。 重心が狂った浩一の父は、ベッドから床に仰向けに転げ落ちた。
「グワッ」ドサッ、と米袋を落としたような音。冷たい床材の感触に奇妙な現実感を覚えながら、浩一の父はミサトを探した。
ミサトの顔は、床に転がった浩一の父からはベッドが邪魔で見えないが、長くしなやかな脚がにょっきりとベッドから降りていた。 黒いナイロンに包まれたハイヒールを履いた爪先がゴツゴツと上半身を足蹴にしてくる。
「イヤなの? 本当にイヤ?」ミサトが不満げに問いつめる。
「そんなにイヤなら逃げてご覧なさいな?」声だけがベッドの上から届いた。 ベッドに腰掛けたミサトは、床にはいつくばっている浩一の父を爪先でチョンチョンとつついて嫐った。
どこに逃げろと言うのか、手首と足首を縛られた状態で逃げられるはずがない。浩一の父は冷たい床を頬に感じながら、朦朧としながら思った。 浩一の父は自分の姿を忘れている。 裸で、手足を拘束されただけではない。 全身に組み紐が縦横に走り、きつく食い込んでいるのだ。 顔は女の口紅で汚され、背中には真っ赤なミミズ腫れの跡が残り、堅くなったシンボルも根元をグルグル巻きに縛られている。その赤紫色になった先を、ヌルヌルに光らせたこんな姿を、いったい誰になら見られてもいいのだろうか。
「そうね、あの椅子までたどり着いてみせてくださらない?」ミサトの長い脚がチョイチョイと部屋の隅を差してみせる。大鏡の掛けられた壁の方角である。その先には、例の執務椅子があった。ミサトはあそこまでたどり着けと言っている。
チラリとベッドの上を見上げるがミサトの表情は見えない。
脚をブラブラさせて、いけ、と合図しているように見えた。
「ふうふう、」瀕死の芋虫が床を這い進む。
全身に食い込んだ紐が痛む。力を入れようとすると、くすぐったくて、筋肉が笑う。 おかしくて笑い出しそうだった。
「早くしてね、旦那様」冷たい声が後ろから投げかけられたが、浩一の父は笑い泣きして、それどころではない。
広い部屋が恨めしい、後少し、と、全身が急に動かなくなった。
ガクンと何かに引っかかっている。ミサトがいつの間にか側に立ち、黙って見下ろしている。 片脚が浩一を縛った紐の端を踏みつけている。浩一の父の反応を楽しんでいるようだ。何も言わず、ニヤニヤと笑っている。
「ウ、ウウウウ・・・」思わず泣き出しそうになった。
「がんばって!ほら、」ミサトがしゃがんで、叱咤激励する。
「どうなさったの? 口ではイヤそうだったけど、本当は犯して欲しいのかしら?」ミサトがしゃがむと、股間のディルドーは床に着いてしまう程である。
「ここで犯ってあげましょうか?」しゃがんだ股間のディルドーをブラブラさせて威嚇する。 「ウウ〜〜〜ウウン」浩一の父は首を振って抗議した。 必死にミサトの足の下になった紐を示す。
ミサトは今気づいた、とばかりに、飛び退いてみせる。
「あーら、ごめんあそばせ、フフフ」白々しい言葉を歌って脚をどかしてやると、浩一の父はどうにか椅子にたどり着くことができた。
椅子の下にたどり着くと、ミサトが紐を掴んで椅子に座らせてやる。 一息つく暇もなく、ミサトが残酷な宣告をした。
「フフッ、どうもご苦労様。条件はこれからよ、あらん?、だましたな、ってお顔ねぇ、でも、わたくしは、たどり着いてご覧、って申し上げただけで、旦那様は最後までお聞きにならなかったんじゃありませんこと? フッフッフッ、ンン? で、しょう? そうでしょう?、旦那様の早とちり、ってことですよね?」間近に顔を覗き込まれ例の鳶色の瞳が冷たい光りを放つ。
「ハァヒャ〜」
「汗ビッショリ・・・」苦悶に歪む主人の顔をミサトがウットリと見つめる。舌を突きだしたミサトが、汗をぺろりとすくう。
「緊張してらっしゃるの?」ミサトが浩一の父の太股にヌルヌルと黒光りするディルドーをピタピタと当てながら尋ねた。
「お願いれす・・・ほれでゃけは、ひゃめてくりゃさい・・・」浩一の父は半泣きになって懇願した。舌が痺れて言葉がもつれる。
ミサトはニッコリと笑い、
「じゃあ、少しゲームをしましょう、リラックスするわよ」
ミサトはブラウスを脱いだ。パープルのミニスリップはテカテカと光沢を放っている。 胸の谷間に、汗でシミになった部分が吸い付いている。 スカートも脱ぐと下着姿になった。股間のディルドーは付けたままである。脚から抜き取ったスカートを、指先でクルクルと回しながら浩一の父に見せつけた後、それを浩一の父の頭からすっぽりと被せてしまった。 ムンムンと興奮した女の花香がこもったスカートの中は暗く、ミサトの言葉をますます魔法がかったものにした。「私の匂いが好きなんでしょう?」 ミサトの声が頭の中にこもる。「よぉく、お聞きになってね」
スカートを被せられた耳の穴に息を吹き込むように、低く囁いた。
「今から椅子を回します。それから、旦那様は椅子に座ったまま、ベッドまで戻ってください。 それが、できたら、許してあげます」
「犯すのはこの次にしてあげますよ」ミサトは機嫌良く譲歩した。
「どうされます? やってみる?」何でもする、浩一の父は黙って何度も頷いた。 ミサトの残酷な笑みは、スカートを被せられた浩一の父に知るよしもない。
「いい? 回すわよ、それ!」ミサトが勢いをつけて椅子を回した。 ミサトが勢いを付けてやると、椅子はグルグルと音もなく回り出した。 スカートに包まれた真っ暗闇で振り回される感覚が、三半規管を混乱させる。
回転が止まると、スカートを被せられたオモチャは頭をふらつかせグッタリと椅子に寄りかかっていた。地面がどの方向かも混乱して確信がもてなかった。 そこへミサトの声が飛び込んできた。
「はい、じゃ、旦那様、ベッドはこちら。 私の手のなるほうへ進んでください」ミサトが威勢良く手拍子を打ち鳴らす。
「ほぉらほら、こっち、こっちよ、旦那様」パンパンと手拍子を打って、靴音を響かせながら、右に左に浩一の父をからかうように、移動する。 「そっちじゃありません、こっちよ、」パーン、パーン強く手を打っている。 その音は部屋の壁に跳ね返り、浩一の父を不安にさせる。 まるで社交ダンスの教室で講師がリズムをとっているように一定のテンポで打ち鳴らす。ミサトの靴音がカツカツとあちこちへと移動している。ベッドと結ぶ方角に来ると、「そうそう、こっち、まっすぐよ」とミサトは助け船を出してやった。
手を打って誘導している。ミサトは本当にベッドの方角に誘導しているのだろうか。 頭の中でミサトがグルグルと自分の周りを移動しているようで不安だった。 遊ばれているに違いない。
浩一の父はその手拍子に向かって爪先を交互に前後させて椅子を転がした。パンパンと打ち鳴らされるミサトの手拍子に向かって椅子を滑らせる。ミサトの匂いが感じられた。ベッドのシーツの匂いも・・・視覚をふさがれた浩一の父は聴覚と嗅覚を最大限に高めてベッドの位置を探った。
「そのまままっすぐ進めば、たどり着くわよ、あとは・・・・」
ギシッと、急に椅子が重くなった。ミサトの匂い。ミサトは椅子の肘掛けに両手を載せて押さえた。浩一の父は必死に爪先を交互に動かして床を蹴っているが、足首だけの水かき運動ではたかが知れている。
「フフフ、進むだけ・・・私を乗せたままね!」
突然近距離からミサトの言葉が浴びせられた。
ミサトは目の見えない浩一の父にがっぷりと向き合って椅子に乗っていた。 ミサトは舌なめずりし、浩一の父の股間に向かって体を折り曲げた。 亀頭の先にミサトの鼻息がクンクンと感じられた。 次の瞬間、目の見えない浩一の父は、股間を包み込むなま暖かい粘膜の感触に驚いた。ミサトがシンボルを口に含んでいる。堅く勃起したシンボルを口にくわえられた。
「フフ」ズズッ、と、ことさら大きくすすり、音で刺激する。
口から吐き出し、堅く尖らせた舌先で、敏感な包皮小帯をほじってやる。シンボルは、はりつめた弦が弾かれたように、大きく反り返る。 ミサトが指が唾液を塗り拡げるように指先を這わしてきた。
とろけるような指使いであった。 ミサトの指が根元を縛っている紐を解きにかかった。 解かれたらイク。
「フフフ、イッたらこの話しはなしよ。イッタりしたら・・・わかってるわよね? 今すぐ犯しちゃいますから・・・」クルリと亀頭のカリに指を巻き付けて一回、二回、とひねりをくわえる。ビリビリと快感が芯を伝わって後ろまで拡がりを感じさせる。
「早くたどり着かないと、こらえ性のない旦那様はイッちゃう・・・」 ミサトは両手は肘掛を掴んだまま、両脚を椅子の足に載せ、口だけを使ってシンボルを舐めしゃぶった。頭を上下させ、お手本を示すように舌をからみつけせ、横ぐわえにしたり、一進一退のストロークで射精を促す。
「アアッ、み、ミサト、お、ね・え・様!」
チュポ、ミサトが顔を上げて耳元にクスクスと笑みを吹き込む。
「もう、イキそうね・・・我慢できそう?」
プンとミサトの髪の毛の香りが鼻をくすぐる。
「早く、行きなさい、漏れちゃうわよ・・・」
方向はこっちでよかったのだろうか。浩一の父はイキソウになるのを我慢できなくなっていた。 根元を縛られていれば逝ってもこぼすことはなかっただろうが、今はしばられていない。むき出しの射精寸前に追いつめられているのだ。
「ヒッ、フゥ! フゥ! アアッ」
イッタらミサトの口の中に溢れかえる。そうなったら、ミサトは不機嫌になるだろう。どんなむごい仕返しがあるかわからない。
今までの経験から、それを考えるとゾッとした。
なんとしてでも、ベッドにたどり着くのだ。
浩一の父は全身から力を振り絞って爪先で椅子を転がした。
椅子は静かに滑り出した。キャスターが滑らかに二人の荷重に持ちこたえながら、滑ってゆく。漏れそうだった。ミサトのテクニックが一層巧みにシンボルを刺激し始めた、急がないとこのまま射精してしまう。 じわりと袋が収縮をみせ、尿道の先がじわりと口を緩めた。
「ヒェ!」ミサトがチラリとそのイク先を見やると、椅子はテラスの窓ガラスに真っ直ぐ向かっている。 しかも、浩一の父は更に床を蹴ってその先に加速している。
ミサトは声を荒げた。
「ちょっと旦那様! そっちは違う! 危ない!」テラスに出るサッシに浩一の父は方向を進めていた。 ガラス窓を突き破ったら大けがである。「もぉっ!」ミサトが床を蹴って強引に方向を転回する。 二人の乗った椅子は滑らかに床を滑って、ベッドへ一気に到達した。ガクン、と、足がベッドサイドに触れると浩一の父が声を上げた。 「う、た、つ、着いた!着いたぞ!、や、約束は、」
「だぁ・め、で・す! 」喜んで声を上げる浩一の父をミサトがピシャリと遮った。
「もぉっ! とっくに、無効です。 何をやっているのかしら!わたしが、声を掛けなかったら、旦那様は窓からお外に落ちていたところだったんですよ。 よって、ウフフッ、エ〜・・・よって! 旦那様は骨折り損のくたびれもうけってこと! アッハハハ、フフフ、楽しめたわね? フッフフフ、アッハハハ、ハァ〜・・・」
「そ、そんな!」おかしくてお腹が痛い、とばかりにミサトはあざ笑った。
「わたしも少しスリルを味わえたわ」
「フ〜・・・さあー、余興はおしまい。 続きを始めましょうかぁー? 旦那様っ、」
「ああああ〜〜」絶望の声だった。誰も聞いたことのない浩一の父の絶望の声だった。ミサトは鼻歌まじりに、悶々と悶える浩一の父をベッドに転がした。
頭に被せたスカートを抜き取ってミサトはにらめっこするように、鼻をつき合わせた。
「まだまだたっぷりいたぶってあげる、最初は苦悶の涙を味わわせてちょうだい。 それは私の大好物・・・それから・・・そのお礼をしてあげる・・・文字通りの悶絶の快楽地獄に突き墜としてあ・げ・る・・・ 」「ああああ〜、うああああ〜〜」絶望がどっと吹き上がり声が抑えられなくなった。感情のまま、声を上げて浩一の父は叫んでいた。
フッフッフッ、と、全身の力が吸い取られるような淫らな笑みで責め具から潤滑剤をしたたらしながら、ミサトは獲物に覆い被さってゆく。 したたる潤滑剤が脚に垂れると、温熱湿布のように、温もりが感じられた。 こんな太くて熱い物を突き入れられたら、死んでしまうかもしれない、しかし、たまらない、もう後ろの性器はその先を望んでヒクヒクと勝手にミサトを誘っている。自分の体がミサトの望むままに反応してゆく、自分がどんどん奪われてゆく、そんな不安をよそに、覆い被さったミサトが濃厚なキスを仕掛けてきた。 かすかな希望さえ奪うような、心を吸い取られるキスだった。「うあっ、ブ・・・」ミサトの口が叫ぶ男の口に、コップを被せたように、塞いだ。 ミサトの無脊椎動物のような舌がヌルヌルと口の中を滑る。 同時に大量の唾液がドロドロになって流れ込んでくる。 「ウムムム・・・」 しばしミサトの唾液を甘受し、ウットリとしていると、唇が解放された。ミサトの目が間近に迫っている。
「さ、力を抜いて〜〜〜」
「あ・・・」
「フフ・・・さぁ・・・いつものように、深呼吸から始めなさい・・・ハイ・・・」 まず、お手本とばかりに、ミサトが大きく深呼吸を始めた。 浩一の父の体は、今味わっている不安と恐怖と切り離されたように、ミサトに従った。 薬の効果とミサトの言葉が浩一の父を深い催眠状態に引き込んでゆく。 浩一の父は全身を弛緩させ、目だけが不安を訴えていた。
怯える獲物をなだめながら、ゆっくりとミサトが浩一の父を深い催眠状態へと誘ってゆく。
「今日は女にして可愛がってあげる・・・」
「旦那様はもう、すっかり女・・・」
「淫らな雌犬のような女にして悶え狂わせてあげる」
「今から旦那様はいけない雌のワンちゃんよ・・・」
「まず手始めに、淫らな雌犬にはお仕置き・・・」
お仕置き、その言葉に浩一の父はピクリと反応した。
「アアアン? イケマセンよ、駄目駄目。もう逃げられませんよ」
「苦しみは快楽への代償よ。たっぷり支払っていただかないと・・・」 「そして、たっぷり本物の快楽地獄を味わわせてあ・げ・る、フフフ・・・」
「さぁ〜〜〜始めるわよ。はい、息を吸って〜・・・」
例の導入が始まると、浩一の父はアッという間にトランス状態に陥った。 快楽の渦に呑まれ、ミサトの意のままに喘ぎだした。
こうなってしまっては、拒む理由もなかった。 すぐにミサトの指を四本くわえ込んで悶絶していた。 ミサトが開拓した後ろの性器は、ヒクヒクとその時を望んでいる。 指がすっぽりと引き抜かれると、巨大なその先端がどしり、どしり、と何度も入り口をノックしだした。 時々故意に強くノックされると、その先は窄まりにつっかえ激痛の予感を覚えた。
「あぅっ!」思わず声が漏れる。
「もっと?」ミサトが艶っぽい声で囁く。浩一の父はうなされたように首を振って拒絶を示した。
「やめて欲しい?」今度は何度も頷いてみせる。
「痛いのはいや?」何度も頷いてみせる。
「指だけにして欲しい?」体力に自信がなかった。
「どうしましょう?」やめて欲しい、そう願った。
「困りましたわ・・・せっかくあつらえましたのに・・・」ミサトは不満そうである。
「今日は指だけにしておきましょうか?」本当にやめて欲しかった。
「みんな最初は死ぬ程痛がるけどそのうちたまらなくなるのよ」
イヤな予感がしてきた。やはりやめてもらえそうにないのだろうか。
「最後は感謝されるくらいお喜びになって」まだ満足したりないのだ。
「これがないとイカなくなるくらい・・・」不安に押しつぶされそうだった。
「旦那様もそうなるのに・・・」イヤだ、そうなりたくない、そうなったら、自分が自分でなくなりそうな気がした。
「欲しくて、欲しくて疼いちゃうようになるのに・・・」 浩一の父は朦朧とした意識の中で助けてくれ、と叫んでいた。こんなことになるとは、思わなかった。 こんな趣味に填められてしまうとは。
どうにも抗えないミサトの責めに、悔しくて胸が締め付けられる思いであった。ギュッと、瞼を閉じると、目尻から熱い涙が零れた。
「あら、もう涙が・・・」ミサトは唇を顔に滑らせ顔全体にキスの雨を降らせた。目もくらむようなキスの雨だった。瞼にされるキスは新鮮だった。閉じられた瞼を舌がこじあげ、目をツルツルと愛撫する。舌に目を転がされているような刺激に浩一の父はくすぐったそうに笑みを浮かべた。 しかし、ミサトは不満そうに呟いた。
「味がしないわ・・・」
「わたしの大好きな涙の味が・・・」
大きなため息を一つ。 浩一の父にはそのため息がとても長く感じられた。ミサトが決心したように、浩一の父に鋭い視線を浴びせてきた。
「私が好きな涙の味は、やっぱり私が犯してやらないと駄目みたいね。」その声は、どんなに懇願しても、もはや変えられない強い語調だった。 ミサトのトロンとした目に見つめられると、邪眼に力を吸い取られてしまったかのように、抗えなくなる。
「あ・・・あ・・・ああ・・・」