転 男転がし

 現実には沈黙は一瞬であった。
 その一瞬のうちに藤崎は、浩一の置かれている状況を理解した。

 内股、ふくらはぎ、と、赤黒いアザが、点々と浮き上がっている。 キスマーク、この場合はマーキング。
 女が男を責める際、さけては通れない、はずせない男の泣き所をことごとく埋め尽くしていた。
 匂い付けは覚悟していたが、浩一は既にショーツまで履かされている。
 (マーキングまで・・・・・・ )藤崎は興ざめを余儀なくされた。
 この印しは、おそらく全身、あますところなく埋め尽くされているに違いない・・・・・・
 
  (見られた・・・ )もはやこれまで、と浩一は全身から火が噴くほどの火照りを感じた。
 早く屋敷に引き返すべきだった。 後悔しても遅かった。
 消えてしまいたい。 本心からそう願った。
 浩一は恥ずかしさのあまり、顔を背けて動かなくなってしまった。
 首筋まで赤くし、乱れたシャツの間から、胸元のマーキングが覗いている。

 すっかり醒めてしまった藤崎は、ここまでされるがままになった、浩一を小憎らしく思った。
 (可愛さ余って憎さ百倍・・・・・・ちょっと虐めてやりたい・・・ )
 浩一がよそを向いているのを幸いに、藤崎の瞳は冷徹な光りを放つ。
 愛しさを火種に加虐心が油を注いだ。
 それはメラメラと藤崎の心の奥底から、ドス黒い炎を立ちのぼらせることとなった。 
 
 浩一が、衣擦れの気配にチラリと藤崎を見やると、既に藤崎は優しい笑みを含んで覆い被さってくるところだった。

 言葉を失っている浩一に藤崎が先制を仕掛けた。
 藤崎はミサトのショーツから飛び出している亀頭には一切触れず、爪先を生地の上から竿に滑らせ、優しいタッチで輪郭をなぞってやった。
 「あ・・・・・・」
 浩一の反応に気をよくしたのか、藤崎はニッコリと微笑んだ。
 
 「浩一さ〜ん? 熱〜い、熱〜くなっています〜 火傷シソ〜〜〜 」その言葉に浩一の羞恥心は火がともった。 顔のほてりがヒリヒリと感じられた。
 藤崎の反応が意外すぎて、浩一は何を考えればいいのか分からず、目をつぶってじっとしていた。
 そんな浩一に藤崎は、更に羞恥心を煽るようにたたみかける。

 「フフフ、それに・・・堅〜くて・・・すご〜い、いつも、こ〜んなになるんですか〜? 」ひやかすのを楽しむようにクスクスと藤崎は笑ってやった。
 「え? え、まぁ・・・ 」浩一は赤い顔を反らしたまま、口ごもっていた。

 浩一は藤崎の様子がおかしいと気づく余裕もなかった。 ミサトを彷彿とさせる指使いに気が遠くなり、藤崎の楽しそうな声が、目をつぶった頭の中にこだまする。 それは風鈴がそよいでいるような、涼しげで心地よい音色だった。
 フワフワと刷毛を使うような微妙なタッチで、幾本もの指先が竿を撫で上げてゆく。

 「どうして、ショーツを履いているんですか? 」
 (それは! )思わず口を開きそうになるのを思いとどまった。
 (フフフ、どうしてかしらね〜〜〜? )

 「んぐ! 」人差し指と中指で挟むと、コリコリとした堅い感触を確かめるようにゆっくりと扱き上げられる。
 「これ〜、女性用ですよね? 」藤崎の可愛い声色が神経を撫でるたび、ミサトのことを口にしそうになった。
 かわいらしい笑顔でチクチクと浩一に意地悪な質問責めをした。

 「浩一さんの? じゃ、ありません・・・ヨ・ネ? 」(知ってるわよ〜 フフフ、さ〜て、秘密にできるかナ? )
 「う・・・あ・・・」浩一は自分の意志に逆らう口を必死に堅く閉じようとしている。
 「誰の? 」藤崎はもう片方の手を加え、指先は絶妙のタッチで袋を弄ぶ。
 「ん・・・ん・・・ 」
 (フフフ・・・) テカテカと滑らかな生地の上でカリカリとくすぐられると、浩一の口元はだらしなく緩んだ。 
 そのまま片方の手がスルリとショーツをくぐった。 きれいな桜色の爪が、ショーツの中で、脚の付け根をからかうようにくすぐる。
 「んんん! 」
 クスクスと藤崎の忍び笑いが聞こえる。
 浩一は目を固く閉じ、真っ赤に紅潮した顔を横に背けた。
 ス〜ッと藤崎が大きく深呼吸する気配。
 藤崎はすべりこませた指先で、形をなぞるようにシンボルに沿わせた。
 
 「ダレ? 」指先で、ゆっくり、ゆっくりと、焦れったくなるほど微かなタッチで撫でる。
 目を閉じていると、その指使いはミサトそのままであった。
 最初はただ心地よく、何でもないのだが、だんだん快感が蓄積し、痺れるような悦楽をかもしだしてくる。
 その快感を一度意識すると、加速度的にこみ上げてくるモノがあった。
 藤崎のひっそりと低い囁き声が魔法の言葉のように、頭の中に響き心地よかった。
 浩一はキリキリと幾重にも縛り上げてるような快感に身をよじりながら、藤崎の手の中で果てようとするが、藤崎にそのつもりはないようだ。
 巧みに指先を遠ざけて快楽をストップさせる。 

 「くっ・・・・・・」(フフフ、知っているんだけどぉ〜 )コチョコチョと指先を太股に滑らせくすぐってやる。
 「ウフ・・・」ブルッと浩一の太股が震える。(言わせてみたくなっちゃうの・・・フフフ・・・・・・ )
 「あ・ア・ア・ 」じわじわと藤崎は指先をヒクヒクと震えるシンボルに近づけてゆく。
 浩一は自ら腰をつり上げて藤崎の指先をねだった。
 シンボルは、浩一が腰を突き出すたび、チョンと指先が触れたり、スゥッと一瞬なぞられるとますます猛り狂った。
 浩一は必死に藤崎の指先に向かって腰をせりだし、藤崎はそれにじゃれるようにあしらった。
 「ア、ア、アア〜、ア・ア・ア・・・」ヒョイヒョイと藤崎は軽やかに手首をかえしてさばいてゆく。
 クスクスと藤崎の息が、耳元をくすぐる。 浩一が素直になると、再びゆっくり、ゆっくりと、指先で撫でてきた。
 「アアア・・・・・・ 」震えるシンボルはシクシクと突きだした亀頭の先から涙を流し始めていた。

 浩一がガックリと腰を落とすと、藤崎の指がちょこんとシンボルにとまった。
 「ね、誰?」表面をピタピタと、軽く指の腹でタッチする。
 「だ〜あ〜れぇ? ネェ〜? 」指の腹を、ミリ単位に前後させ、ちいさな螺旋をゆっくりと、描いてやる。 
 先走りの滴は塗り拡げられ、亀頭は油をひいたように、テラテラと光っている。 

 その表面をツルツルと滑る指先の動きは、肥沃な大地にまかれた種のように、浩一の中心にむかって快感の細い根を伸ばしてゆく。

 「知りたいなぁ〜〜? 」トントンと幹にそって軽くノックしながら、
 「あああ、」チラリと浩一の喉の動きに目をやり、
 「聞きたいナァ〜・・・・・・フ・フ・フ 」小指の爪の最も尖った先でツツツッ、とゆっくりとなぞって焦らす。
 「う・・・・・・うう! 」亀頭の先までくると、チョンと軽く爪の先で突いてやれば、浩一はビクリと仰け反った。
 トロリと透明な糸が指の先と亀頭の表面をつないだ。

 「言いたくなるでしょ?」ピシャリと浩一の心境を見透かしたように、言い当てて見せた。

 「う・・・・・」浩一の口元がモゴモゴとせわしく動く。 もうそこまで言葉が出かかっているのだ。

 「聞いてあげる・・・ やさしい看護婦さんが・・・ 」藤崎は優しく語りかけながら、片手で浩一のシャツのボタンをひとつ、また一つとはずしてゆく。

 「浩一さんの悩みを・・・ 」ポツン、ポツンと胸元を微かにふれる、ボタンをはずしてゆく藤崎の手が、くずぐったくもあり、それ以上に心地よかった。

 「癒してあげる・・・・・・」ゆっくりとシャツを開くと、アンダーシャツの上から胸を撫で始める。

 「聞いて欲しくてたまらなってきた。でしょ? 」ボソボソと耳元に唇が触れんばかりに囁く。

 「わたしだったら安全ヨ、フフフ・・・ 」ゾクゾクと肌がざわめいた。

 「ね、 誰? 」片方の手が、ミサトのショーツをかいくぐり、シンボルの更にその奥、深い懐に直接触れてきた。
 女のしなやかな指達が、熱く蒸れ、ヨレヨレになった袋を弄んでいる。 指の先で二つの丸い固まりを転がして浩一の性根を自由自在に翻弄する。 
 「んあ! ああっ! 」その手首の動きにミサトのショーツはクルリとまくれ、浩一の下半身は完全に車内の空気の中に晒されることとなった。 熱く蒸れた袋には、エアコンの空気をヒンヤリと感じるはずであるが、今の浩一にはそれを感じる部分に快楽を塗り込められ、何も感じられなかった。

 アンダーシャツは、胸をまさぐるもう片方の手が、その裏側に潜り込み、皮膚に直接爪を這わせながら、腰から胸に向かってゆっくりと、まくり上げられてゆく。

 セミの鳴き声の響く林の中、黒いベンツの車内では、倒された運転席に、半裸で横になった男女が、ゆかたに絡まったように蠢いていた。 
 上になっている女が、男の耳元に口をよせ、何か話しかけながら、、なめ回すように男の体に手を這わせている。
 男のほうは、てぐすに巻き取られた魚のように、自由を奪われ、女の手が微妙な動きを見せるたびに引きつるように仰け反るだけである。

 「コウイチサン・・・言ったらラクチンよ・・・フフ・・・ 」
 巧みな焦らしを何回か繰り返されるうちに、浩一はどうにもこらえられなくなってきた。
 耳の端まで痺れるような執拗な焦らしで浩一は夢うつつの状態にまで追いつめられていた。
 プツリ、プツリ、と鈴口からは濁った先走りが、繰り返し、繰り返し噴き出した来ていた。
 

 「ほら? 」コツーン、とその一声に、浩一はたががはずれたようにしゃべり出した。
 ついに、答えを口にした。
 「あ・・・・・・め、 」(フフフ、 )藤崎は含みきれず、笑みを漏らした。
 「えぇ? 」頭を傾げ、藤崎は更に手首を使った。
 「め・・・め・・・」(もう少し・・・ )藤崎は巧みに手指を駆使して性感を責め立ててゆく。
 「ほら〜 」(言ッテ〜ェ、フフフ・・・ )キュッと藤崎が強く扱き上げると、浩一は噴き出すように答えを吐き出した。
 「メッ、メイドさん・・・メイドさん、メイドさんのだよぉ〜〜 」
 (フフフ、かかったかかった、かかった・・・・・・ )喜びを味わいながらも、ぬけめなく指先で精管をさぐると、浩一の噴出を寸前でせき止めてやった。
 「ウウウウウ〜〜〜」寸前でふさがれ、前立腺を圧迫している己の精液の膨満感に浩一は悶絶の呻きを上げていた。
 自白した浩一に、藤崎は満足の笑みを浮かべながら、更に問いただす。
 「メイドさん? 本上さん? 」
 クイクイクイ、と小刻みに扱き上げてやると、浩一は何度も繰り返し答えをうたった。
 「ああ、メイドさん! 本上さん! ホンジョサン! あああっ! 」
 看護婦の指先が少し力加減に変化が感じられた。
 「本上ミサトさんが?」浩一は唇を震わせて答えに躊躇していた。 藤崎は唇の端をつり上げてニンマリと妖しい笑みを浮かべると、指先で泣き所を弄んだ。 キュッと包皮小帯をつまんで軽くつねった。
 「ああっ! くっ! 」一瞬の小さな痛みは切ない快感に押し流された。
 「フフフ・・・」サッと指を羽のように、ひらめかせ、幹に絡みつかせる。
 指の動きはいったりきたりと、前後に上下しだした。
 「ああああ・・・ 」一層感じやすくなっていた。
 浩一は、ゆっくりとではあるが、シンボルの付け根のずっと奥からジクジクと迸りがこみ上げてくるのを感じていた。 
 ときおりクイクイとカリの下に指先をひっかけ、違った刺激も味合わせてやる。
 「う・・・あ・・・あ・・・ 」垂れ始めた滴は、ポタッ、と藤崎の手を伝ってシートにシミをこしらえた。

 藤崎は巧みに竿を操って真相を釣り上げてゆく。 浩一は釣り針のひっかかった魚のように、緩急自在の藤崎の竿使いに翻弄され、自ら海面を目指して浮き上がってゆく。

 チョロチョロと餌をゆらされ、針を含んでいるとも知らず、藤崎が紡ぎ出す指先の恍惚感を求めた。
 「あああ!」
 (あとは、釣り上げるだけね・・・ )藤崎は両手の指を使って浩一の性感帯をつま弾きだした。

 両手の指全てを巧みに駆使してやると、浩一はうたう。 肉楽器になったように、うたいだす。
 「あああ、」指先に迸りの前兆が感じられた瞬間、藤崎はパッと愛撫をカットした。
 絶頂の手前をイッタリ来たりさせられ、シンボルはゆらゆらと陽炎を浮かべんばかりに真っ赤に発熱している。

 (フフフ・・・フフ・・・ )
 チャッ、チャッ、チャッ、とカッティングしながら、藤崎はたたみ掛けるように問いただした。
 「浩一さん、ミサトさんなの?」
 「あああ!そ、そうだよ! ミサトさん! メイドのミサトさんだよ! あああ、イグ! 」
「ん?」
 パッと藤崎は手を離して、演奏をストップした。
 (完全に釣りあげられちゃったね・・・コ・ウ・イ・チ・サ・ン・・・ )
 「あああぅ・・・・・・」悔しがるように唸る浩一が目にしたのは、冷たい、さげすむような目で口元に笑みを含んだ妖艶な女の顔だった。 先ほどまで、藤崎の心の中を占めていた情欲の炎に、今は対抗意識も加わり、目の前の異性をもっと弄んで翻弄してやりたくなった。
 (も〜・・・ これくらいで、口を割るなんて・・・ )
 それは、怒っているのか、あざけっているのかどちらともつかない、微妙な表情であった。
 「ふ〜〜〜〜ん」藤崎は、鼻で笑うように相づちをうって、シュルシュルとシンボルに指を纏いつかせた。

 (でも、そこがまたまた好み・・・フフフ・・・)ビィ〜〜ンと、快楽の弦を弾いてやる。
 「アアッ! 」
(フフフ・・・ )
 肩で息をする浩一のシンボルに再び藤崎は覆い被さってゆく。
 指を絡ませゆっくり引き抜くような愛撫を繰り出す。
フッと、耳元に息を吹き込んでやる。
 「いいの? 喋っても? 秘密にしたかったんじゃないの? 」
 秘密にできなかった。まるで、ミサトのような快楽で、意のままに男を操るような尋問に抗えるわけがなかった。
 藤崎の指使いにつま弾かれる楽器になったように浩一は、あっさりと藤崎の望むままの音色をあげさせられていた。

 浩一の喘ぎに、水を得た魚のように、藤崎はテクニックを次々とくりだした。
 「ああああ、イイ! 」

 「イイ? 気持ちいい?」藤崎は脱がせた浩一のシャツを上にクルクルとまくり上げ、浩一をだまって万歳させた。 浩一もされるがままにした。 脱がされると思っていたそれを、藤崎はヘッドレストの後ろにひっかけた。 浩一は万歳した格好で、両手の自由を奪われた格好にさせられてしまった。

 ミサトの淫らなマーキングを施された上半身が、その全てを藤崎の目の前に晒されていた。 
 藤崎はもう目を見張ることもなかった。 うっすらと目を伏せたまま、サラサラと手のひらを胸に滑らせる。
 「これ・・・キスマークですね・・・・・・ 」
 「あああ、いい! 」脇を軽く撫でてやってもくずぐったがる様子はない。 性感を開発されている。
 「うまいでしょ? たまんない? 」狭い運転席で、浩一に添い寝をするように、藤崎はゆかたの絡まった肢体を密着させながら尋ねた。
 「こんなに一杯・・・疼きません? 」藤崎は指が蜘のように、シンボルの表面を蠢く。
 「あああ、ああ! 」ゆっくりと手のひらに包み込むと、そのまま力をこめた。
 「もっとヨクしてホシイ? 」(も〜たまらな〜い、ウズウズきちゃう! )藤崎は息で乾いている唇をペロリと舐めてぬめらせた。
 「ああ、」
 「そんなにイイ? 」単調に小刻みに扱き上げてやる。
 「あああ〜 」 ズキンズキンと迸りがこみ上げつつあった。
 「い、イグ〜 」後頭部に痺れが拡がり始める。

 「ミサトさんにもしてもらった? 」ドキッとさせられる一言が浩一に急ブレーキをかけた。
 「エ・・・・・」ズキズキとした頭でその質問を聞き返していた。
 藤崎が顔を覗き込んできた。 その目はうっすらと細められ、浩一の心にかかった霞の奥を見透かそうとしているような眼差しだった。
 「こんなこと! 」藤崎は、答えない浩一に加虐的な責めで扱いた。
 人がかわったように、大胆に大きなストロークで扱き上げられ浩一は今度こそ射精する、と思った。
 「あの人よりもずっとイイでしょ? 」扱きながら藤崎は尋ねる。
 目の中で火花がチカチカと瞬き、グッと体内の底からこみ上げてきた刹那、
 「ねぇ〜?」猫撫で声で、藤崎は甘い官能の調べで扱き、快感を軟化させた。
 「あああ、」焦らされ、寸前でオアズケされれば、されるほど性感は浩一を狂わせてゆく。
 「ネェったら、ネェ〜?」大胆な扱きから、一転して撫でて、なぞるような焦らしが展開された。
 「ウフフフ、ネェ? 」藤崎が何度尋ねても浩一は喘ぐばかりだった。
 「ああああ、」
 「いいんでしょ? たまんないんでしょ? 」
 「ああああ、いい! イグ! あああ、」
 ググッ、と手先に迸りの奔流を感じ取った瞬間、藤崎はスルッ、と手元をはずした。
「あっと」同時に片方の手で会陰部のコリコリとした管を強く塞いだ。
 ビクッビクッ、とわずかに濁った先走りを流す、亀頭を優しく手のひらで撫でながら、
 「あっ、ごめんなさ〜い」
 「あああ〜あああ〜」 藤崎が手元を狂わせたような芝居で、故意にオアズケを喰わせたことなど、今のコウイチには見抜けなかった。
 「くぅ〜〜〜うううう・・・」醜くゆがんだ口から、惨めな呻きをもらすのみである。
 「ごめんなさい、手が、すべっちゃった・・・フフ・・・」

 先走り汁で滑りのよくなった肉竿を大きなストロークで悦ばせておきながら、
 「ホラァ、 」パチンと手を離して勃起を下腹に跳ね返らせてやる。
 「あああ、」浩一の絶頂を察知するや、故意に手を滑らせた。
 「コンナフ〜ニ・・・ 」再び手に握りしめ、
 「フフフ、コ〜ンナ、フ〜〜〜ニィ・・・ 」片方の手のひらは帽子を被せるように亀頭包みこね回しながら、
 「コ〜ンナフ〜ニ、」クチュクチュとぬめった音を響かせながら肉竿を気持ちよく扱き上げた。

 「ああっ! 」だんだん浩一の絶頂は早くなってきた。
 「スベッチャッタ〜〜〜」藤崎は無情にも何度も手を滑らせた。
 「アアア〜〜クゥ〜 」万歳した格好で浩一は何度も首を横に振って抗議した。
 「滑ったってイッテルじゃないですか、ホ〜ラ、 」抗議を身振りで示す様子を嘲笑うように、藤崎は何度も失敗を味わわせてやった。
 「あああ・・・」
 クチュクチュクチュ・・・・・・ぬめった音が断続的に車内に流れ、パチンと、とぎれると男の苦悶の呻きが上がった。

 「ウフフフ、(ほらっ!ほらっ!) 」小さく低い声で藤崎は歌をうたうように口ずさむ。 人差し指で、かき混ぜるようにクルクルと亀頭の周りを指の背で刺激されると、ビリビリと痺れるような快感に浩一は身悶えた。

 「しました! しごかれました!アアアッ! 」浩一は大きく口を開けて答えた。
 「ウン、そうなんだ 」藤崎はそのまま扱き続けた。
 「ああ! アアアア〜〜 」白いしなやかな指が、浩一の先走り汁でテラテラとぬめり、いっそう滑らかに男の象徴を絡め取り、醜く猛らせてゆく。

 「しました! いくぅぅ〜! 」藤崎は黙ったままパチンと快楽をカットした。
 「ウウウ〜〜〜〜な、なんで? 」
 「フフフ、ホ〜〜〜〜〜〜ラッ」もはや、祭りで浩一と無邪気にはしゃいでいた藤崎ではなかった。
 今は妖しい笑みを浮かべ、オモチャを弄ぶ猫のような瞳で、浩一が身悶える様を楽しんでいた。 

 「あああ・・・・・・」藤崎は浩一に考えるゆとりを与えなかった。 指先一本で魔法をかけられたように、藤崎のつまびく楽器に成り果てていた。 ただ、ただ、快感の弦をはじかれ、悦楽の喘ぎを響かせるのみである。
 尋ねられた事にありのままうたうだけ。 答えを考えることを奪われていた。

 ゆっくりと責めを加減してやると、浩一はハァハァと胸を上下させて息を継いだ。
 (今の浩一さんは水揚げされたマグロ状態ね・・・ )
 妖しくほくそ笑みながら、藤崎は浩一の顔を覗き込むように、覆い被さってゆく。

 「コ・ウ・イ・チ・サン」頭の中で藤崎の艶っぽい声色が響き渡る。
 「アアア・・・あ? 」

 「ミサトさんと寝た? 」低く囁くように藤崎が耳元に息を吹いた。
 浩一は顔を真っ赤に首をブンブンと振った。 

 「本当? 」藤崎はユルユルと手首のスナップで、巧み亀頭から、竿を上下に刺激した。
 全身から力が抜け、筋肉が意思とは関係なく震える。
 
 「嘘ついてもすぐわかるわよー? 」小首をかしげて、流し目で藤崎は浩一の顔を覗き込んだ。
  複雑な指使いで、テンポもだんだんとアップしてゆく。

 「あっ、あっ、あっ 」
 藤崎は問いつめながら、どんどんテンポをあげてやった。

 「イキソウ? 」 亀頭の先からタップリと透明な先走りが溢れ、藤崎の白い指にからまってゆく。
 それは、激しく上下する手の動きから、クチュクチュクチュ、と、淫らなリズムを奏で始めた。

 「イク? イッちゃう? イッちゃうの? 」
 「あっ、あっ、あ・あ・あ・あ」ブルブルブルッ、と、浩一の太股の筋肉が激しく痙攣する。 
 「ウン、イキソウね、フフフ・・・・・・ 」テンポが見る見る落ちてゆく。

 「お、ヒ、イク! イク! イカセテッ! 」浩一が涙目で懇願する。
 「ウン、イキタイんだ・・・」藤崎はクスクスと笑いながら目を輝かせた。
 軽く握ってゆっくりと扱くテンポを上げてゆく。
 「ああ、ああ、ああ、」浩一は何度も頷いた。
 カリの下動きをやめると、強く締め上げてやる。

 「ねぇコウイチサン? 」目は浩一のシンボルに向けたまま、藤崎はボソリと呟いた。
 「ハ・・・ン? 」

 「本当の事を言ってくれないと、イカセテ上げないってイッタラどうする? 」意地悪に歯をみせて藤崎は浩一を見つめた。

 「ドウスル? 」甘えた声で質問を繰り返しながら握ったてをひねり始める。

 「アアッ! 」カリの下をリング状にした手がズリズリと回転し、摩擦が快感を発生させた。

 「メイドの、本上さんとセックスしたんでしょ?  」ズリズリズリッ、と激しく回転させると浩一はうたいだした。
 「あああ、寝てない、ヤッたけどちゃんとヤッてないよ! ヒッ」泣き声で浩一はうたった。
 「アッ!」またもや、藤崎は快感をカットした。 亀頭の先から濁った先走り汁がひときわ大きく吹きこぼれた。
 「く〜〜〜〜〜・・・」浩一は悶絶の呻きを漏らした。

 「どういう意味? 」落ち着いた頃合いを見計らって藤崎は快感責めを再開した。
 「ああああ、ちょっと、だげ入れただけだよっ 」
 「も〜〜〜、ヤッタんじゃない。 セックスしたんじゃない! 」テンポが早くなる。
 「あああ、遊びでやらしても〜アらったんだよ! 」更に手の動きが複雑になり、頭の中が真っ白になりそうだった。
 「ミサトさんは本気じゃなかったんだよっああっ!」
 「え〜、本気じゃないのに、入れちゃったの? これ? 」どんどん浩一の絶頂の周期が短くなってきている。
 「いやらしい! 浩一さん遊びで入れちゃったんですか? 」浩一は目をつぶって唇を歪めていた。否定できなかった。
 「私のことも、遊びのつもりですか? 」藤崎が再び責め始めた。
 「あああ、ち、ちがっ」浩一は必死に言葉を選ぼうとしたが、頭の中が真っ白で子供のように、首を振って否定した。
 「私の事、どう思っています? 」藤崎は容赦なくたたみかけた。

 「っづっ! すっ、好き! 」浩一は素のままの言葉を口にした。
 「そう、」藤崎は、ニッコリと満足の笑みを浮かべる。
 「今は? 」今でも好きか、藤崎はどうしても聞いておきたかった。
 「今は?」今の自分でも変わらないか。 返答次第で藤崎は今後の行動を決めるつもりでいた。
 浩一にとっても大きな選択肢のはずである。

 「う・・・」(もうっ! )浩一がすぐに答えないので、藤崎は追い立てた。
 考える暇は与えない。 藤崎は思い通りにする為に、ことさら強い刺激で性感を責め立てた。
 「ああっ! すっ、好きだっ! 」(優柔不断かしら・・・)
 「愛は感じないの? 」
 「愛わぁ? 」歌うように浩一に問いただした。
 「あああ、愛、愛愛してます 」浩一はオウム返しにさえずった。
 「フフフ、うれし〜いなっと! 」藤崎ははしゃいだ。
 「あああ、イグイグ! 」浩一は今度こそ最後だと思った。
 「あっと、ご〜め〜んなさ〜〜いぃ、フフ 」しかし、藤崎は残酷な一言で最後を奪った。
 「ああああ〜〜んぐ〜〜〜」
 イク寸前で藤崎はわざとらしく手を離した。
 
 「フフフ、浩一さん・・・ 」腰をよじって身悶える浩一をあやしながら、藤崎は囁いた。
 「あああ、」
 「気持ちよかった? 」浩一はイッていない。まだイカせてもらっていなのだ。 
 「あああ、」浩一は涙を浮かべた目で懇願した。

 「ミサトさんの中は気持ちよかった? 」質問の意味が具体的になった。
 藤崎のしなやかな指がシンボルに絡みついてくる。
 「思い出してる? 熱くてヌルヌルのメイドさんのオマンコ」妖しく指を蠢かし、竿全体をねぶりつくすように扱く。
 「こ〜んな風に、キュ〜〜〜〜ッて締め付けるんでしょう?  」絡みつけた指を締め付けてやると、浩一は黙ったまま仰け反った。  
 「ハハ〜ン〜ん」その有様に藤崎は納得の相づちを打った。
 「こんな感じ? ね? 」キュッキュッと締め付けながら上下に扱く。
 「それともこう? 」ひねりも加えてやる。
 「ハァッ!」これは効いたようだ。 浩一はたちまち絶頂に登り詰めてゆく。
 「ズボ、ズボ、ズボッて食べてもらったんだ? 」亀頭のぬめりを使って、ことさら大きな音を立ててやる。
 絶頂の手前で藤崎は巧みに手さばきを加減した。
 「うらやましいなぁ〜こんなの食べたんだ〜メイドさん・・・」コツンと額を浩一の肩にもたせかけて、呟く。
 「浩一さんも気持よかったんでしょ? 」クチュ・・・クチュと焦らすようにゆっくりと刺激する。

 「うう〜〜〜 」浩一は失神寸前の状態で仰け反っていた。
 「フフフ、わたしともそうなりたい? 」浩一の意識は遠くに霞んでしまったように、返事がない。
 「フフ、っていうかあたしにもごちそうしてホシイなぁ〜? 」藤崎は浩一のシンボルに話しかけていた。
 「ふっとい浩一さんのオチンポ! 」淫らな手技を使った対話だった。
 「ほっぺたがおちるかもね〜シリホッペ!フフフッ! 」浩一のシンボルはヒクヒクと頷いた。

 コンッ、と、車の窓に何かがあたった。 ハッ、と藤崎は体を起こし、外に目をやる。
 コンコンッ、それは、セミだった。 セミが当たったフロントグラスには、半透明の液が残った。
 セミが林の奥の侵入者に警告を発しているような有様だった。
 二人ともセミの行動に不安を抱きながら、しばし、沈黙していた。
 藤崎は浩一に振り返ると、ニッコリ笑ってみせた。
 「 浩一さん、私の部屋に来ませんか」
 藤崎のテクニックにとろけてしまった浩一に選択の余地はなかった。
 ここまで盛り上がったら、もう、止まらない。 浩一はウンウンと黙って頷いた。
 
 「フフフ、でもその前に・・・」
 可笑しそうに浩一の表情を伺い、シンボルをクイクイと倒したり起こしたりと弄びながら、
 (運転の邪魔にならないように・・・・・・ )
ペロリと舌なめずりし、ゆっくりとかがみこみ、
 (スッキリさせましょ )
 浩一の目をジッと見据えたまま、竿を横くわえに唇を吸い付けた。
 浩一は目を見開いてその光景にかたずを呑んでいた。
 ジッと目を逸らさず、ヌラヌラ舌先を滑らせながら、藤崎は亀頭に吸い付いた。
 「あああ・・・ 」
 舌頭を堅くとがらせ、裏筋からカリをゾリゾリと舌先でなぞる。
 チュバッ、と、吐き出しては、モグモグと含みなおし、尿道の先をチロチロと嫐っていたかと思えば、リズムをつけてしごきながら、亀頭全体にクルクルと舌を絡ませてやる。
 カリのすぐしたまで手を上下させながら、チロチロと尿道をくすぐられると、浩一は頭の中が真っ白になった。

 「ああっ」ブクッ、と、奥から猛り狂うように奔流のごとく、迸りが出口に向かってグルグルと管をかけめぐった。、
 決壊の瞬間、藤崎はがっぽりと口を覆い被せ、きつく吸った。 あっという間に藤崎の粘膜にピッタリと吸い付かれ、隙間なく一体となった粘膜の中で舌先がズリズリと竿全体を這い回る。

 「ぐぁっ!」浩一はその中に迸りを激しく吐き出した。
 「ん!」藤崎がくぐもった呻きを漏らし、両手は袋と竿の根元を愛撫している。
 ドクドクと巨大な迸りが何度も藤崎の口中でつかえながら嚥下されてゆく。
 藤崎は頬をへこませてきつく吸い上げるのを続けていた。
 どんどん藤崎に吸い上げられてゆく。

 (すごい・・・)
 下半身から管を通って魂を吸い上げられているような快美感に浩一は息が止まった。

 (わわわ・・・・・・ )意識まで吸い上げられるように、気が遠くなってきた。
 それはまるで、精液を吸い上げると同時に魂まで強制的に藤崎の口中に吸い上げられるような勢いで、不安にさえさせられる快感だった。 全身に蓄積された快感が全て一点に集められ、吸い上げられる快感。

 「ア〜〜〜〜! 」
 ズルズルとそのまま精神まで引き込まれ、全てを吸い上げられそうな迸りだった。
浩一はそのまま意識が遠のいてゆくのを感じた。

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メイド 魔性の快楽地獄