転 男転がし

 

 「ちょっ、ちょっと待ってアイ、ソレ何? ソレ、その薬、何?」浩一はこらえられず、不安を口にした。
 シリンダーをカツッ、と爪で弾いて脱泡する仕草は、やはり看護婦である。
 「こ・れ・はっ、企業〜秘密! フフフ・・・ 」
 じっと目をこらし、不安に緊張する浩一に藤崎はニッコリ笑ってはぐらかした。
 
 「・・・すっごくビンビンしてきますよ 」ボソッと藤崎は小さく呟いた。
「えっ! 」
 「フフフ、さ、力を抜いてリラックス、リラ〜ックス・・・」
 クスクスと含み笑いで、藤崎は浩一の腹部にかげを落とした。

 「やめろ! 」浩一が恫喝した。
 「フ〜〜ン・・・ 」看護婦は、口元をニンマリさせながら、まったく動じない。
 看護婦がかがみこむと、浩一は腕を引き絞って緊張した。
 ほどよく太い腕に、縄をよったような筋肉が浮かぶ。

 しかし、藤崎は浩一の腕には目もくれず、注射器の針を真っ直ぐ、浩一のシンボルに向けてきた。
 妖しい笑みを浮かべ、その手はゆっくりと、浩一の下半身に降り立とうとしている。
 「あっ、やめっ、い、いやだ! そんなの!」目が合うと藤崎は目を丸くしておどけた。

 「動かないでくださ〜い・・・ 」無茶言うな、とばかりに、浩一は診察台をきしませた。
 「お、お願いだっ、もう、やめて! はずして! じょっ、冗談だろ〜ぉうオウオウ・・・」
 大きな男が半泣きになって懇願していた。

 「力むと、痛くなりますよ〜 」シンボルに手を添え、動かないように押さえる。
 赤い照明の下、伏し目になった眼差しに、ナースキャップからこぼれる髪がユラユラと揺れ、美しかった。
 「動かないでくださ〜い、針が折れちゃいますよ〜 」
 恐怖にあっても思わず浩一はその風情に見とれそうになる。
 「ハ〜イ、チクッ・・・ 」

 「!」ビクリと浩一目をつぶって全身を引きつらせた。
 が、藤崎は、まだ針を通していない。 しばらく沈黙が続き、時間が静止したように感じた。
 何も起こらない。

 浩一は薄目を開けて、看護婦のようすを見た。
 看護婦は顔をほころばせながら、こちらをジッと見据えている。
 針の先が皮膚を突き抜く寸前で手を止め、こちらを見てほくそ笑んでいた。

 「見ないの? 」そういってクスクス笑っている。
 「本気にしました? あ?怖かった! でしょっ? 」
 笑っている。 浩一は玉のような汗を鼻の下に浮かべ、自分も笑い返そうとした。
 「は、ハハ・・・ 」

 「ハイ、チクッ!」浩一が力を抜いた瞬間、
  藤崎は、男の急所、ウズラ卵に斜めから針を通した。
 ブツリ、心臓まで貫くようなショックだった。
 「ガァ〜〜〜〜! 」首根っこを押さえられたガチョウのような声だった。
 「フフッ、ひっかかっりました〜」痛みがズズ、と突き進んでくる感触に気が狂いそうだった。

 「痛っ! くそっ! うあぁ! やめろったら! やめて、うぁ〜〜〜ぁ、やめて〜」
 「もう、浩一さんったら・・・」クスクスと看護婦は笑いながら淡々と処置をこなしてゆく。
 「ハイ、入りま〜す・・・ 」ひっ、と浩一はシャックリをするように、嘶いた。

 妖しい看護婦姿の藤崎は、有無を言わさず薬液を浩一の体内に送り込んだ。
 「ああ、冷たい!」針の先からはっきりと、冷たい薬液が血管内に送られてくるのを感じた。
 「ひぃ〜、冷たい、吐きそう・・・ 」
 「うん・・・」看護婦は、ぞんざいに相づちをうった
 「ハイ、入りました・・・ 」
 藤崎はゆっくりと針を引き抜いた。 
 跡に小さい清浄綿を押しつけてグリグリと押し揉まれる。
 チラッと見えたそれは、やはり小さい黒いシミができていた。
 「痛くなかったでしょ? 」
 浩一は涙目でハァハァと息を荒げ、鼻水をすすり上げた。
 「アイ、はずして・・・ 」
 浩一の懇願も空しく、治療は続行された。
 「ぐぁっ! 」
 もう片方の急所に、無情の針が突き刺さった。
 
 終わったと思わせて、看護婦はもう片方にも残りを注入する。
 「イダッ! イダイイダイ! ヒェッ、ヤメロッ ヤメテ〜〜 」
 
 「ングググ・・・・ 」浩一は唇を歪め、歯を食いしばっていた。
 「浩一さん? 」看護婦は少し、呆れたといった表情で浩一を見下ろした。

 「ヤメテ・・・痛い・・・ 」浩一の涙に潤んだ目が、たまらなく愛おしく感じた。
 看護婦の口元に、思わず笑みが浮かぶ。
 浩一は、そんな看護婦の笑みに、妖艶な凄みを感じた。

 「嘘、痛くないはずですよ・・・ 」看護婦は片方の手、シンボルの根元を押さえていた手を、
袋の奥に滑らせてきた。会陰部をやさしくくずぐってくれる。
 「痛くありません・・・ 」浩一の性感帯を指先で優しくあやしながら、低く囁いた。
 「リラ〜ックス・・・ リラ〜ックスして・・・ コウイチサン、」
 「・・・・・・ 」
 看護婦の冷静な声に、浩一の荒い息が治まってくる。
 指先で性感帯を撫でられるだけで、浩一は少し落ち着いてきた。
 ニッコリと微笑んで看護婦は作業を続けた。
 「つらくないはずですよ・・・ 」冷たい薬液が感じられるが、看護婦の言うとおりだった。 
 「終わりです・・・ 」そう言ったとき、看護婦は既に注射器をトレイに戻していた。
 股間を丁寧にグリグリと揉まれる。 
 「あ、ああ・・・ 」 
 二回目は、なぜかあまり痛みを感じなかった。
 看護婦は注射器をかたずけ、腕を前で組んで、しばし浩一をジッと見守った。
 浩一は二回目が終わると、グッタリと力が抜け、天井を見ていた。
 
 藤崎がフゥ〜、と、大きく溜息をついた。 タイマーが刻々と時を刻む。 
 藤崎がもう一度溜息をついたそのすぐあとに、浩一は声を漏らした。 
 「んんんっ! 」
 薬液が入って一分もしないうちに効果は現れた。
 「ああっ」
 全身の血管に火が走った。
 あっという間にあの時の気分が蘇ってきた。
 悪寒ではない、疼きである。 どうにも押さえがたい肉欲の衝動にはちきれそうになる。
 頭がボーとし、イキがあがる。
 心臓も早鐘を撃つ。
 (き、気が遠くなる! と、飛んじゃう! )
 「うぅ〜〜〜んん・・・ 」浩一の目が彷徨いだした。
 媚薬の効果が加速されたのだ。 

 (・・・効いてきましたね )淫らな笑みを浮かべてジッと浩一を眺めていた藤崎が話しかけた。
 「コウイチサ〜ン? どうですか、浩一さん? 何か感じますか? 」
 藤崎は、拡声器の形にした手を口元にあて、朦朧としてきた浩一に呼びかけた。
 身悶えする浩一の額にしっとりと手の平をのせて、汗の感触を味わう。
 「コ・ウ・イ・チ、さ〜〜〜ん? 」
 「あぁぁ? 」

 洞窟の中で藤崎の声を聞いているようだった。 視界が暗くなったり、まぶしくなったりする。 

 浩一の目がどんよりと弛緩し、だらしなく開いた口からよだれが流れた。
 充血しているであろう目は、瞳がフラフラ揺れている。
 浩一は骨のない軟体動物になったように、腰をモジモジとくねらせ始めた。
 本能が、無意識に反応を示している。
 下腹部が火に炙られたように熱い。
 熱いだけではない、何かにこすって刺激を得たい、そんな疼きがゾクゾクは這い回っている。
 その間にシンボルは起き始めてきた。
 「どうですか〜 」藤崎の声はエコーがかかったように、浩一の耳に響いた。
 「あああ〜〜〜」言葉にならなかった。
 藤崎の流し目の先では、チューブをくわえたシンボルが徐々に変化してゆくところだった。

 (フフフ・・・キタキタ・・・効いてる効いてる・・・ )
 少しずつ、少しずつ角度を高めてゆくシンボルに、藤崎は思わず口がほころび、
よだれをこぼしそうになった。
 
 「あああ、ち、ちんぼが! あ、」
 みるみると浩一のシンボルが精気を取り戻してゆく。
 「うん おっきくなってきましたよ・・・ 」
 「あっ熱い! ムズムズするっ! 」
 「すご〜い、グングンふくらんでくる・・・」藤崎は甘い声で浩一を煽った。
 先ほどの処置によって浩一は尿道全体がヒリヒリしたが、気にしていられない程、
シンボルは堅くはち切れんばかりに勃起してゆく。
 浩一は痛みを感じた。
 「いっ、痛っ、 ひ〜〜っ 」
 勃起に合わせて管を貫くチューブの異物感が、強烈な刺激となって浩一に責めかかる。
 痛みはどんどん、ひどく、強くなる。
 「痛みますか? 」
 そこから先はアッという間であった。
 「キャッ! 」藤崎は目を丸くした。
 痛みを感じだしたシンボルは一気にバネ仕掛けのように、跳ね上がった。
 浩一は顔を歪め、串刺しの痛みと、快楽の核を突かれる刺激に口をパクパクさせて喘ぎだした。
 
 「フヒュ! 」浩一は思わず唇から息吹きを細めてこらえようとした。

 「ヒュッ! 」

 (すっご〜い・・・ ) 目を白黒させ、 藤崎は思わず看護婦でなく女の手で勃起にタッチした。
 「うっ、ウウウ! 」反り返ったシンボルに、女の白魚のような指は強烈な刺激だった。
 浩一の意志に関わりなく、シンボルがビクンと、跳ねた。
 弦がゆるんだように、ぐったりと弛緩している体の中で、
その部分だけが、まるで、荒馬のような興奮ぶりだった。
 藤崎は今までにない興奮を覚えた。

 「すご・・・ 」指が火傷しそうなほど熱く、皮膚の下で、太いミミズが脈動を伝えていた。
 手の全てに感じたい。 藤崎は指をゆっくりと、巻き付け、手の平も使ってシンボルを掴んだ。
 「アッ! 」シンボルはチューブをくわえたまま、跳ね馬のごとく暴れる。
 「アハ・・・ 」命に触れているような神秘的な感触だった。
 ゆっくりと、指を締めたり緩めてたりしてやると、力強く手の中で暴れた。
 弾みを得たかのようにシンボルは何度も跳ね、藤崎はショーツの中にトロケルような熱い疼きと、
花びらから締まりなくしたたる蜜を押さえられなくなっていた。

 ぬかるんだショーツ脱ぎたい。 そう思うが、手の中のシンボルを離したくない。
 両方を感じていると、制服の下、内股を、熱い滴がツツッと膝に向かって進んできた。
 (おもらししたみたい・・・ )そう感じると、頭に血がドッと上り、耳に火がついたようだった。
 ガクガクと足から力が抜けそうになりながらも、藤崎は必死に平静を保とうとした。
  
 「あ、アッ、アッ! 」跳ねるたびに浩一は声をあげた。
 「ん? ん? ん? 」藤崎は、浩一の喘ぎに応えるようにシンボルを刺激してやった。
 その刺激は、シンボルがビクンと反り返るたび、浩一に雷を落とした。
 
 それをジッと眺めている藤崎は、剛直に股間をえぐられるような甘い刺激を想像し、
グッショリと濡れたショーツから、熱い蜜が悦楽の愛撫で幾度も太股を伝ってゆくのをウットリと味わっていた。

 「アハ・・・ コッ、浩一さん・・・き、効いたでしょう? 看護婦さんに、カッ、かかればっ、勃起も、思いのままよっ 」

 「フ〜ン・・・こんなになって・・・」
 藤崎は剛直の幹周りを計るように、
 慎重にそっと握っては上下させて、握り直す動作をゆっくりと繰り返してやる。
 「ア・ア・ア・・・ 」浩一は朦朧とした意識の中で、藤崎の甘い声色に酔ったように喘いでいる。
 「効いたでしょう〜 ビンビンですよっ・・・ 」
 隆々と勃起したシンボルにミミズが浮き彫りにのたくっていた。
 藤崎は指先に伝わる浩一の拍動に興奮を覚えながら、動きにひねりもくわえた。
 「いっ、痛ひっ、 」
 真っ赤な目で浩一は唸った。

戻る 進む2003年3月9日更新部へ

メイド 魔性の快楽地獄