転 男転がし

 

 しかし、最高の絶頂はやはり自分が優位に立った上で得るのが特上だ。
 コレばっかりは変えられない。
 ミサトのせいではない。 もともと自分もそうだったのだ。
 
 攻めさせてやって少し気分転換になった。
 目の前の恋人は、いよいよ本当の快楽を味わうことになる。
 一度覚えたら二度と忘れられない快楽地獄。
 永遠にそこから抜け出すことなどかなわない、魔性の快楽地獄。
 
 このゲームで浩一が得るのは、勝利ではなく自分への従属と愛なのだ。
 浩一を快楽で穴だらけにしてやろうと考えていた。 
 その穴は、男共を熱狂的な倒錯者に仕立て上げる。
 その穴を塞いでやれるのは穴を開けた自分だけだ。
 浩一はその穴を塞いでもらえる為なら、喜んで藤崎のモノになる。
 浩一はミサトよりも強烈な呪縛で藤崎のモノに成り果てる。
 
 この若い雄に、愛と従属を植え付けてやろうと決めていた。

 「フフッ・・・ 」
 看護婦はサラリと、浩一の責めをさばいて、逆襲を仕掛けてきた。
 浩一をまたいで回れ右すると、浩一の右手を掴んだ。
 あっというまだった。
 浩一の手の平を掴むと、手慣れた仕草でひねった。
 週刊誌をとりあげるように浩一の手を手首から肘、肩と捻ってゆく。
 「あ! 」
 浩一が手をふりほどこうとしたが、藤崎は浩一の手のひらを巧みに捻って技をかけた。
 同時に浩一の顔に腰を下ろした。
 「ウブッ! 」
 見えないのをいいことに、藤崎は浩一の手を折り畳んだ。
 顔を藤崎の肉ビラにビッタリと覆われ窒息しそうだった。
 「アン! フフフ・・・ 」股の下で浩一が暴れると藤崎は嬌声をあげた。
 そのまま、浩一の手を背中の下に押しこめてしまった。

 「あららぁ?」子供扱いだった。文字通り赤子の手をひねるようにかためられてしまった。
 クスクスと笑いながら、腰をずらしドスンと胸に跨った。
 背中の下に更に重みがかかる。
 背中の自分の腕は、二人分の体重にくわえ、脇に膝をつかれて固められてしまった。
 浩一の両胸には針が刺さったままである。
 針に刺されないよう、制服の弛みを尻の下に集めてその上に乗った。
 藤崎は浩一の下腹部に両手をついて腰を揺すった。
 グッと膝をつめられると、肩がはずれそうになる。
 藤崎が動くと乳首を貫いた針が微妙に動く。
 「イタタッ! 」
 抗う浩一の左手を、藤崎は邪険に払う。
 「フフフ、はずせますか? 」 

 「あばれる患者さんを押さえるの、得意なんですよ 」 
 藤崎の目の前には、無防備になった浩一の下半身がある。
 指先を浩一のシンボルに絡め、浩一の柱に攻撃を始めた。
 柱の表面をツルツルと指先は滑るようにまとわりついた。
 白い蛇のようなしなやかな指が、張り出したカサの下でとぐろをまくと、パッと目の前が真っ白に曇った。
 クルリ、クルリ、と、巧みにひねりをくわえ、堅い柱を悦楽の真綿にくるんでゆく。
 浩一が左手を使おうとすると、うるさそうに手で払われる。
 責める場所に手が届かなかった。
 
 「うう、」こんなずでは、こんなはずだったのだ、と浩一は呻いた。

 またイカされるんだ、浩一は観念するより他なかった。

 このままでは壊される、そんな怖れを抱きつつ。
 自分がどこまで壊されるのか、この先、暴力的な快楽にどこまで引き込まれるのか、
 その先に不安を覚える自分と、興奮に近い期待感の狭間で揺れる自分がいた。
 
 藤崎はクネクネとその細い肢体を巧みに浩一に預け、全身の女の部分で浩一を追い込んでゆく。

 「イタタ、針! 痛い! 」
 「痛がりの患者さん・・・ 」
 藤崎は上機嫌で、鼻歌まじりに浩一を翻弄した。

 「コワガリノ浩一サン・・・ 」
 攻め一辺倒で少し飽きが出てきた藤崎は、浩一につたない希望を持たせてやった。
 その希望を粉々にうち砕いてやるゲームがいい気分転換になる。

 「全開で攻めさせてもらいますね、コウイチサン・・・ 」
 オーバーヒートに陥りつつあったが、浩一から受けた絶頂を糧に完全にリフレッシュしていた。

 とりわけ指先のテクニックは生き返ったように卓越した指さばきでしぼるように扱く。
 カチカチの堅さにほれぼれするように、羽のような軽やかなタッチをまじえ、たくみに焦らす。

 看護婦が振り返って見つめ返してきた。
 その目は生娘のそれではなく、「酒屋の娘は目で殺す」男を悩殺する男殺しの視線を放っていた。
 チカチカと火花が散っているようで、その瞳に魅入られてしまいそうだった。

 (はじけさせてあげる・・・ )快楽で殺す。 目は激しい感情をともなっていた。
 浩一の脳裏でパチパチと何かがはじけてゆく。
 
 「アア・・・ 」浩一は攻められ一辺倒を余儀なくされた。
 攻めを制すや藤崎は、魔性の笑みでほくそ笑みながら男を追い上げてゆく。
 「ビクビクしてます〜 」

 「浩一さんてエッチお上手なんですね 」
 腰をズリズリと擦りつけて自慰行為をしながら、上機嫌でさえずっていた。
 「イイイイ! 」
 「わたしもエッチは嫌いな方じゃありませんよ 」

 「だから・・・ 」妖しい流し目をくれながら、再び上体を傾けてゆく。
 「ちょっと本気出しますね? 」クルリと前を向くと、看護婦の白い背中がうねった。
 華奢な背肉の下で、蛇のような背骨がうねっていた。

 「アアアゥ! 」
 亀頭の先が暖かい粘膜に包まれた。
 藤崎はパクッと、帽子をかぶせるように亀頭にかぶりついた。
 看護婦の桜色の唇がモグモグと浩一のシンボルを呑み込んでゆく。
 その先は暖かく、ネットリした舌の歓迎を受けた。

 「ンンン・・・・ 」
 舌は驚くほど柔らかく、ゼリーの中にいるようだった。
 その中でひときわ弾力のある、軟体生物が浩一のシンボルをとらえた。
 「あ・・・ 」ムズムズとくすぐったくなるような刺激だった。
 その動きは男の性感を嫐る。 

 「ああ・・・ 」
 クネクネと絡み、シンボルの一番敏感な性感帯を巧みにくすぐってくる。
 同時に指先を使って、浩一の袋の下から爪の先で掻くようにカリカリ引っ掻いた。
 浩一の性感はみるみると沸き立ち、先からは暖かい看護婦の唾液がこぼれてきた。


 「浩一さん、もうあきらめたんですか? 」
 勝負はこれからですよ、とクスクス笑いながら藤崎は振り返った。
 楽しそうだった。
 その目はゲームの優勢を誇っていた。
 
 「左手一本あるじゃないですか 」浩一の左手を取ると、自分の股間の下に引っ張り込む。
 「まだチャンスはありますよ〜 」花びらをうねうねと擦りつけ、浩一の愛撫をせがんだ。
 がんばって・・・

 どうせアイはまた嘘をつく。
 そう思っても希望を失うわけにはいかなかった。
 自分はまだイカされていないのだ。
 やめるわけにはいかない。
 でも、自分はイカされたい、

 浩一はそう思うようになった自分を必死に否定した。

 イキたい。 パッと欲望がフラッシュする。
 浩一はゲームを降りる気にはなれなかった。

 迷った末、浩一は左手を伸ばした。
 浩一の左手は、看護婦の腰にたるんだ制服を掴んだ。
 グイッとたぐり、力任せに藤崎を引きずり降ろそうとした。
 「あ!」

 「キャ! フフフ・・・」
 左に引っ張るが藤崎も心得たものである。
 浩一に膝を引っかけふんばる。

 「オォットー! フフフ・・・ 」
 浩一の診察台に両脚を固定されているのでそれ以上落ちることはない。
 かえって藤崎が膝をひっかけると、かためられた腕がもげそうになった。
 「ブー! 落ちませんよ〜」楽しそうに看護婦は嘲笑った。
 

 股間に指が這い回り、とろけるような悦楽が拡がる。
 藤崎はシックスナインの体勢でがっぷりと浩一に組み付いていた。
 タップリと唾液を垂らし、舌を滑らせる。
 乱れた長い髪の毛までが、浩一の性感をサラサラと愛撫した。
 「クッ、アア! 」
 浩一の反応に合わせて、だんだんと激しい刺激を送ってやった。
 「アアッ! アアッ! 」浩一の嬌声がだんだんと高くなる。

 (んん? )オカシイ、藤崎は初めてそう考えた。
 何かが違う。 浩一はもうイッテしまっているはずである。

 しかし、口の中のシンボルはイッテいない。
 こんなものではないはずだ。
 「アレレ? 」

 浩一はなかなか射精しなかった。  しかし、藤崎もイカない。
 馬乗りされた上、片手しか使えないのであれば致し方ない。
 浩一に攻めながら、浩一の左手は巧みにかわした。
 気持ちいいを通り越すと、巧みに逃げた。
 「んん〜? 」
 浩一はときおりイキそうになる演技をして、巧みに危ない刺激を遠ざけた。
 本当に感じる刺激は堪え忍び、それ以外を感じているフリを続けてしのいだのだ。
 なかなかイカない浩一。 藤崎はけげんな顔で振り返った。
 こんな展開は予想外だった。
 
 「浩一さん、薬が切れてる? 」振り返る藤崎と目を合わせてしまった。
 「あ〜〜、ひょっとして、演技入ってません? 」目で全てを見破られた。
 「もうっ! シッツレ〜〜〜! 」プッと頬を膨らませ怒ってみせる。
 針に貫かれた乳首に激痛が走った。
 激痛が射精の引き金になりそうだった。
 「・・・・・! 」
 浩一は声に出さずに叫んだ。
 
 「ふ〜ん・・・頑張りますね・・・ 」一瞬にして冷静な看護婦の表情に戻る。

 「でも、無駄です・・・ 」唇の端を吊り上げて妖しく微笑んだ。
 クルリと浩一に向き直って抱きつくと、耳元に囁いた。
 「看護婦さんの秘密のアイテムに浩一さんは屈しちゃいますよ〜 」
 片手にピルケースを取った。
 「すごいんですから・・・ 」

 「まずは、これから味わってくださいね 」
 手のひらに小さな玉が二つ。 イヤリングのようだった。

 それを藤崎は口に含むとカラカラと口の中で転がした。
 「ん〜」親指と人差し指を口に含み、玉をつまんでいるようだ。
 ズスッ、と唾をこぼしながら、ネジをまくように指が動く。

 「あ〜〜〜〜ん」
 藤崎が パッ、と口を開き、舌を出すと、舌先に銀色の玉がついていた。
 「ンフフ・・・ 」
 舌ピアス。

 ヌルヌルになった指で浩一の乳首をコチョコチョとくすぐった。
 「ンッ・・・ 」ビリビリと浩一の乳首がシビれる。
 「フフフッ! 」
  チロチロと舌を震わせるとキラキラと玉が舌の上で踊った。
 「さぁ〜たっぷり感じさせてあげますから・・・」
 クルッと背中を向けチラリと流し目をくれると、浩一の股間にかがみこんだ。

 その舌で浩一のシンボルを口に含んだ。
 シンボルと口の間で玉がコロコロと転がる感触があった。
 と、玉が先に押しつけられる。
 クリクリと巧みに押しつけられ、それは、出たり入ったりと浩一の尿道を刺激した。
 「ア? ア・・・ 」
 「フフッ、どうです? 効くでしょう? 」背中を向けたまま藤崎はくぐもった声で話しかけた。
 「じわじわ〜っと効いてきますよ・・・」浩一にではなく、浩一のシンボルに話しかけているようだった。
 藤崎は小道具を使い、気合いを入れて刺激をくわえてゆく。
 コロコロと玉が浩一の泣き所を転がってゆく。
 銀の玉は電極のように、微弱な快楽信号を放ち、ぴりぴりと性感を刺激してゆく。
 セックスの先進国においては、小さな玉が男を喜ばせるので、密かにはやっているようである。
 (演技なんかできなくしてあげるんだから・・・ ) 

 「そろそろ・・・かな? 」今度はじっくりと、シンボルの反応を見極めながら愛撫を調節した。
 「フフフ・・・ジワジワ〜 」チラッと再び看護婦が振り返るが、浩一は目を合わせないようにした。
 「まだまだ序の口ですよ〜浩一さん 」浩一にではなく、息がかかるほど口を寄せてシンボルに囁いた。
 「ジワジワぁ〜 フフフ・・・」ピクピクとシンボルは言葉に反応した。
 「ほら、ジワジワァ〜・・・ 」
 「まだまだ、ジワジワァ〜・・・フフ・・・ 」
 「ピクピクしてきた〜 」
 もっと気持ちよくなりますよ〜
 ほら、ジワジワァ〜・・・言葉で性感を高めてゆくのはミサトと同じだった。
 浩一は催眠術にかかったように、言葉に操られるように感じ始めていた。

 舌がクルクルとシンボルの表面に螺旋を描く。
 唇と舌に挟んでやり、球でコロコロと敏感な包皮小帯を刺激してやる。
 「んん! ハァ・・・ンン・・・ 」感じていない演技をしようとするが、今度は唇を噛んでも抗えそうにない。
 情けない鼻にかかった喘ぎが押さえられなかった。
 「あ〜〜、その声! 本物! 」

 「フフフ、タマラナイみたいですね? 」
 「もっとカンジチャイマショウネェ〜〜〜〜? 」
 浩一をとらえる粘膜の中で、ちっぽけな銀の球がコロコロと浩一の泣き所をビリビリと痺れさせた。
 藤崎は、性感を煽るように話しかけては口に含む責めを繰り返した。

 「アアッ! アウゥ! ハアッ! 」
 浩一の左手はもはや、空を掴んでもがくだけだった。
 「浩一さん、イキソウになってますよ 」
 「イッタら負けですよ」
 「イインデスカ?」
 「イッテもいいんですか? 」
 「イキタクてたまらない? 」
 「我慢できなくなってきた? 」藤崎の甘い声が次々と浩一の心を翻弄してゆく。
 口を使われているときは、手指も使った同時責めが浩一を歌わせた。
 
 「アアア〜〜ンン! 」拳を振って身悶えしていた。

 「もうダメ? 」
 「ダメ? 」声が頭のなかをはね回る。
 (デメ! イウゥ! イッジャウ! )言葉に出すよりも先に心の中で叫んだ。
 「あ、ダメみたい!」キュッと握力で流れを止めてやった。
 「フフフ、」浩一の泣きっ面に藤崎は胸が疼いた。

 「イキソウだ〜 」ここまで出来上がってしまえば、ほんの少しの刺激にも敏感である。
 「アアアアッ! 」簡単に浩一は歌った。

 「あっけないですよね〜 」
 「イイ線いってたのに、」ツゥー、爪の背で峰をなぞってやるだけで充分だった。
 「ちょっと簡単すぎませんかぁ?」
 イキそうになると止めた。
 
 「残念ですよね〜 」
 「ず、ずるい、アイ、アッアッアッ! 」
 藤崎の手指が少し動いただけで、チョロッと鈴口から汁がつたった。

 「これが我慢できたらって思ってませんか〜 」
 スッ、スッ、スッと滑らかに手指が上下すると、我慢できなかった。
 「あ! イ! グ! 」

 「無駄で〜す」また止めた。 
 再び汁が垂れた。

 「も、もう一回、こ、こんなっ、アッアッ!」
 執拗に繰り返されて、浩一は気が狂いそうになってきた。

 「たとえコレが我慢できても〜〜〜? 」
 「フェアじゃないっ! アア、い、イグ! 」

 「え? 何? 」
 「アアッ! 」
 はじける寸前で意地悪をかけるのを楽しんでいた。

 「ナンデスカー? コウイチサン? んん?」
 しらじらしく決着を先延ばしにしていた。
 もっと浩一をよがらせてやりたいと思った。
 「ンググウ! 」ギュゥッ、と流れを止めてやる。

 「絶対勝てませんよ 」苦悶の表情を浮かべる浩一にニコニコしながらも手は離さなかった。

 「勝てませんよ〜、何度やっても・・・ 」
 「も、もう一回、ナシだ、こん・ナッ! 」
 ゆっくりと手を緩めてやると、チョロリと迸りがこぼれだした。

 もう一度締め上げて止めてやる。
 「ンン! ハァッ! い、イカッ、セ、イカッ! 」
 
 「もっと奥の手もありますよ 」藤崎はトレイに手を伸ばした。
 「じゃ〜ん!」
 藤崎はメガネケースらしきものから、針金のように細い、白いマドラーのようなものを取り出した。
 「これな〜んだ、フフフ」

 「アトデコレ使ッテアゲマス・・・ 」
 そういって看護婦が手にしているのは診たこともない棒だった。
 先が球状になっており、マドラーのように見えた。
 「え、そ、それ、何? 」

 「これは、へーゼルロンドっていうんです」
 別名「エンゼルロッド」天使の杖。どんな強者も涙するという。
 ロンド。 踊り出す、と形容する者もいる。

 「使い方は・・・ 」
 「フフフ・・・ コウイチサン・・・ 」

 「その前にこっち片づけちゃいましょ? 」

 「ちょ、ちょっとまって!  」
 「ふふっ、ダメですよ、話を逸らそうとしても 」
 藤崎の妖しい微笑みにムラムラさせられて限界だった。
 
 浩一の性感はもはや、迸る寸前で、ムラムラとその欲情を迸らせる瞬間を今か今かと待ちわびていた。

 再び亀頭に帽子がかぶせられた。
 カポッ、とシンボルは暖かい唇に含まれた。

 看護婦の唇は魔法の帽子だった。
 亀頭につまった慾脳を吸い取る魔法の帽子。
 ツルツルと表面をねぶり倒し、粘液で溶かして吸い取ってゆく。
 
 吸われ、真綿のような唇が、メリメリと頭周りを締め上げてゆく。
 看護婦の唇がゆっくりと上下に注挿を始める。
 (ああ! イカされる! )
 ゆっくりとゆっくりと、口内の粘膜がシンボルの表面をトロリ、トロリと滑ってゆく。
 ブクブクと粘り気のある唾液が浩一の草むらに染みわたる。

 ピッタリと貼りついた粘膜の感触は不条理なる快感を感じさせた。
 「ンアッ! 」
 看護婦はじっと、浩一を見つめ返したまま、下半身に快楽を注ぎ続ける。
 熱い粘膜の中で桃色のナメクジは、帽子に閉じこめられた浩一に絡みつき、いたぶる。
 ツルリと滑っていたかと思えば、ザラリとしなやかに擦りあげられた。
 「アアアッ 」

 ブルブルと浩一の太股が震え出す。
 ニヤリと看護婦が笑ったような気がした。
 ズルリ、と深くくわえこまれた。

 ナメクジはいない。 
 そこは、肉食動物の胃袋だった。
 男の肉柱をドロドロに溶かしてかき混ぜられてゆく。
 粘膜の中でシンボルの先がピリピリとシビれだしてきた。
 藤崎の口にドロドロに溶かされ、吸い込まれているようだった。

 「と、溶け・・・る! アアッ!  」
 その瞬間、全身を射精の快楽が押し流した。
 「アガッ!」

 ガクッ、ガクッ、と腰が爆ぜる。
 浩一をくわえた看護婦はそのまま、シンボルに吸い付いて、離れない。
 身悶える浩一の体を、両脚で強く挟んで絞り上げるように締め付けた。
 更に強くシンボルを吸った。

 「あああっ! 」胸の針までヒクヒクと絶頂を訴えていた。
 最後の一滴まで吸い尽くすと、看護婦はようやくシンボルをはき出した。
 そのまま天井をあおぎ、白い喉をコクリと鳴らした。
 精液は嚥下したようだ。
 ウットリとした表情で浩一をみやり、微笑んでいる。

 意識が朦朧としている

 「ハァ〜〜・・・あ〜あぁ・・・」意識が朦朧としている浩一にかわって藤崎がつぶやいた。

 「イッチャッタ・・・ 」ひょうきんに目をグルグル回しておどけた。

 「あ〜あ・・・ 」トクン、トクンと脈打つ胸を、藤崎は指先で慈しむように愛撫した。

 「イッチャいましたね〜、コウイチサン・・・ 」かためられていた浩一の腕をとって、やさしくマッサージしてやる。

 「勝負にならなかったみたいですね〜」絶頂の余韻がまだ醒めない体には最高のスキンシップだった。

 「気持ちよくて我慢できなかったんですよね? 」指先で筋肉をつまむように優しく揉みほぐしてやる。
 両手が万歳にされていることに気づいたときは既に遅かった。
 虚脱状態の浩一を優しく介抱してやると見せかけて、両腕を元通り金具に固定したのだ。

 ふりだしに戻ったのだ。 浩一は言葉もなかった。
 「よかった? 」口をパクパクさせる浩一に、看護婦は優しく声をかけてやった。
 再び四肢を拘束された雄を、手の平でなだめるように愛撫する。
 キュッとシンボルを握ると、手首のスナップを効かせて、シンボルを揉みほぐすようにマッサージする。
 少し強い刺激ではあるが、擦るよりはいい。

 ジワジワとシンボルの血行が促進され、シンボルは看護婦の指の中で脈々としていた。
 「あ、元気〜フフフ、まだ溜まってるんですね? 」

 看護婦は浩一に笑いかけながら、シコシコとシンボルをからかうと、
 そのまま、下へシンボルを押し込めてやる。
 手にバネ仕掛けの手応えを楽しみ、パッと手を離すと、パチンと下腹に跳ね返った。

 「コイツ〜、苦戦しました〜フフフ、」反り返ったシンボルをピーンと爪で弾いた。

 「でも、勝負は私の勝ち、デスヨネェ? 」有無を言わさない目で浩一を睨め付けた。
 浩一の目は信じたくない展開に混乱をはらみつつあった。
 「じゃ、じゃ、じゃあ〜ぁん・・・フフフ・・・ 」おどける看護婦から逃げる術はなくなった。
 いや、始めからなかったのだ。 浩一はこれから自分に起こる事を考えないようにした。

 「続きは苦しみのあとで。 ね? 」
 看護婦がウィンクした。 誰に似ているんだっけ?  浩一はボンヤリ思った。

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メイド 魔性の快楽地獄