転 男転がし

 ミサトは広い寝室内でベッドに腰掛けていた。
 電話を浩一の父の寝室でかけていた。
 藤崎アイに電話を切られ、しばし感慨にふけっていた。
 窓に何かを感じたのは気のせいだろうか。
 ミサトは、香の紫煙で薄茶けたカーテンを取り替えるつもりだったのだが、今は遊んでいた。
 自分の魔力の虜になった雄を弄んでいた。
 脚を下品に組み、黒いレース地の短い手袋で例の組み紐を弄んでいる。

 美しい組み紐は、尻の下にしかれたカーテン生地の塊をきつく縛っていた。
 抱き枕のようなそれは、ミサトの下でモゾモゾと蠢いていた。

 レースのカーテンにクシャクシャにくるまれているのは浩一の父だ。
 薄いシーツが汗に透け、浩一の父の醜い体を透かしていた。
 服を剥がれ、全裸でカーテンにくるまれていた。
 頭部はミサトのスカートの奥に取り込まれている。
 「ム・・・ウン・・・・」蓑虫さながらの状態でモゾモゾしている。 
 クロアゲハのようなフレアのスカートの中から媚熱がたちのぼる。
 薄いスカートの生地に、はっきりと浩一の父の醜く歪んだ表情が透けていた。
 窓を見ていたミサトは、風に揺れるカーテンから自分の下に視線を戻した。

 「フフフ・・・・ウットリなさって・・・ 」
 浩一の父は黒い霞のようなミサトのスカートに頭を包まれ、陶酔状態だった。
 タップリとミサトの汗と香水を含んだスカートがサラサラと顔を包む。

 「暑くありませんか? 」
 生地の上から指で撫でてやれば、スカート越しに熱い呼吸を繰り返した。
 「はあ、ふう! 」
 
 「フン? おつむが溶けちゃったのかしら・・・  」
 パッ、と包みを解き、哀れな虜と成り果てた主人の頭を両手に挟んだ。

 「溶けちゃったのかしら? 」
 軽く爪をたてて頬を掴んでやる。
 「アアアッ! 」

 「ほーら、どうなの? 」
 ユサユサと頭を揺すってやると、頭の芯からわき出す快楽物質が脳内に拡がる。
 「あう、あう・・・ 」
 不純物が頭の中を濁らせ、正気を奪ってゆく。
 
 「フフ・・・とろけちゃって・・・ 」
 浩一の父の顔を、ベッタリとした餅のような下半身が覆った。
 「ップッ! 」それは、ヒンヤリと汗ばみ、顔の皮膚に吸い付くようだった。

 「フフフ・・・ 」
 ミサトはグルグルと臼を挽くように腰を回した。
 とろけた顔面の皮膚が、頭蓋骨の上でしわくちゃに歪む。
 自分の顔を失ったような喪失感。

 柔らかく香しいミサトの下半身が汗でピッタリと吸い付くようだった。
 ミサトはまくっていたスカートをおろし、浩一の父を再び包んだ。
 (ハァハァ・・・ )
 薄いスカート越しに見上げるミサトの表情は何よりも神々しかった。
 見下ろしている眼差し、うっすらと閉じられた唇。
 浩一の父は、黒いスカートの中でミサトの匂いに包まれながら、
 肉に溺れながら、どんどん落ちてゆく自分に陶酔すら感じていた。
 「ハッフッハッフ! 」浩一の父は息も絶え絶えにミサトに溺れていた。

 
 浩一を送り出した後、ミサトは一通りメイドらしい仕事をこなし、それでも浩一が戻らないので、浩一の父を手慰みにかけていた。

 ミサトは夕闇迫る、暗くなった窓ガラスに映る自分の姿に淫靡に微笑んだ。
 「あの子・・・ 」藤崎アイのことを思い返していた。
 妹にでもなったつもりなのか。 少し甘やかしすぎたかもしれない。
 グッ、と浩一の父に体重をかけ苦しみを与えてやる。

 「旦那様? ぼっちゃまが大変なことになっているみたいよ?」
 柔らかい肉が耳を塞ぎ、揺すってくるので聞き取れなかった。
 聞き取れたとしても、今の浩一の父は理解出来る状態ではない。
 自分とミサトのことにしか関心がなく、夢中なのだ。

 「ん・・・ 」
 ミサトの股間が浩一の父の喉にめり込んだ。粘液でぬめった女の花びらが男の喉仏をイッタリ来たりと擦りつけられる。
 「あ・・・ 」
 壮年の堅い喉仏は、ミサトのクリトリスをポツポツと刺激した。
 「い、いいのかしらっ? 」
 ミサトは頬を震わせて、遠くに視線を向けた。
 
 「た、大変な事になってるかもっ 」
 「い、いいのっ? 旦那様ったらっ アッ! 」 ミサトは快感を感じつつも冷静そのものだった。
 指は印を結び、どんなに感じていても自我を見失うことはなかった。

 「ムグ! ブゥフウ!」
 「あら? 」スカートをめくって覗いたその顔は、紫色にむくみ、目は真っ赤に充血していた。

 「フフ、ゴメンあそばせ、旦那様」
 艶っぽい声で笑われた。 鈴を揺らすように心地よい響きだった。
 そして浩一の父が見たのは、妖艶なギラギラと光沢をはなつ唇。 陰にあっても際だつ目の白。その中にある鳶色の瞳。 
 その瞳の奥と、自分の頭の中がパチンとつながったような気がした。
 男を虜にする信号が送られてくる。 
金色のキラキラした紙吹雪のような快楽が男の欲望に降り注ぐ。
 「もう少し?」冷静なミサトは何度快楽を味わっても疲れることを知らない。
 むしろ、体調がよくなるくらいだった。
 
 「ウブッツ! 」虜になった男にはイエスしかない。
 ミサトはニヤリとほくそ笑みながら、再び窒息させる。
 「ウーーーー! 」男の唇、舌がヌルヌルと敏感なポイントをくすぐる。
 「まだできますよね?」ゾクゾクと鳥肌が立つような快感が全身を包む。

 「まだまだ・・・」腰を更に落として全体重で快楽を吸い上げる。

 「苦しい?」雄の口から精気を吸い上げているような気分だ。
 「でも、好きなんでしょう? 」低く毒づいた声で囁きかけてやる。
 「ウ・・・」これがこの男のイエスである。

 「胸いっぱい吸ってくださいね。 メイドのオマンOの匂い」
 もう一度今度は浩一の父の口元を塞いでやる。 
 「ウ・・・・ 」口の中にメイドの分泌物が拡がる。

 「ぶわっは! 」解放された瞬間大声を出していた。
 「息を止められるのが気持ちいいんでしょう? 」息を大きく吸うと、ミサトの匂いに全身が染まるようだった。
 「頭の中はピンク色っ、てとこかしら?」体の中全部がミサトの成分で染まっているようだった。
 「オマンコで窒息死される方なんてそう滅多にいませんよ 」微笑んでミサトは再び口を塞いだ。

 「ウウウウ・・・ 」ミサトの味がした。淫靡で逆らえない快楽の支配。
 「いかが? 死んでみます? 」頭が何かに犯されているようだった。

 パタパタパタ、血の気の失せた手が、小鳥の羽ばたきのようにミサトの太股に合図を送る。
 「そうよね、まだまだ、旦那様は必要とされていますから・・・」

 「簡単には逝かせませんわ」スッとわずかに腰がずらし、息を吸うことを許した。

 「あ、こっちはいくらでもイカセテ差し上げますけどぉ? 」無造作に股間をつねりあげてブルブルと震わせた。
 (も、モヒゥ! )

 「アッハハ、せいぜい、遊んで差し上げます」組み紐を引き絞って、更に全身を締め上げる。
 (も、もう! モウ! )シュルル、絹の組み紐が蛇のように全身を滑る。

 「もう結構っておっしゃってもききませんから」ユッサ、ユッサと揺すって肺の中の空気を押し出してやる。
 (ヒッ、ヒッ、エッ、ウッ、ウッ! )

 「旦那様は私の意思のままに、気持ちよくなるんですから」サーッと全身の血液が青ざめてゆく。
 (アアア・・・)

 「旦那様は私の虜になっちゃったんですから!」
 浩一の父はミサトが体重を掛けると、不安にもがきだした。
 「う! ううう! ううう!」
 「そして、奴隷です! 」ミサトの声が遠くからこだまする。
 ひどい耳鳴りがしてきた。
 ブラックアウトが始まる。

 「ウググ・・・ 」
 いつもはミサトの瞳が見つめる中での失神だが、ミサトは浩一の父を観ることはなく、壁にかけられた大鏡に映った自分をみていた。
 ゆっくりと視線が部屋の中を横切り、窓の外に目をやって、遠くに思いを馳せた。
 下半身は無意識に溺れる雄の気管を押しつぶしている。

 手をパタパタさせ、合図を送るがミサトは知らん顔である。
 またもミサトは藤崎アイのことを考えていた。

 勘違いも甚だしいわ。
 これはお仕置きね。

 そうしている間も浩一の父は墜ち、ビクビクと悲惨な絶頂を味わっていた。
 腰の下で浩一の父がガタガタと硬直した。

 浩一の父の息づかいが止まった。
 同時にぐにゃりと弛緩した。

 「旦那様? 」
 グルグル臼を挽くように腰を回してやっても反応はない。
 水の詰まったゴム風船のようである。
 
 組み紐を解いてやると、浩一の父は漏らしていた。
 クニャリとしおれたシンボルが透けていた。
 薄いシルクのハンカチーフでわずかに流れでた迸りをぬぐってやる。
 
 浩一の父の依存ぶりは、ますますミサトの思い通りに進んだ。
 普段は主人として振る舞っているものの、ひとたび二人きりになれば、主従は逆転した。

 パン! 張り裂けるよう音でミサトの平手打ちが浩一の父の頬をはった。
 一回で浩一の父は息を吹き返した。

 「お目覚め? 」
 浩一の父はミサトによってスイッチを植え付けられていた。
 それは、奴隷に転落する引き金だった。
 浩一の父はもともと変態趣味の資質がない。
 ミサトによって開拓されてしまったのだ。
 いつも、ミサトに溺れているわけでもない。
 ミサトによってスイッチをいじられたときだけ溺れるのだ。
 それは条件反射に近かった。
 どんな状況にあってもスイッチには逆らえなかった。
 
 少し琴線をつまびいてやるだけで、簡単に快楽に溺れるようになった。
 快楽に我を忘れているときは、ミサトのいいなりだった。
 最近は失神がお気に入りで、そのまま何度も絶頂を彷徨うようだ。


 女郎蜘蛛に捕らえられた簀巻き状態の獲物だった。
 ミサトは易々と浩一の父を裏返した。
 ごろんと転がし、馬乗りに跨る。クルクルと真ん中をめくり、包みを拡げた。
 「まだまだ・・・これからですよ? フフフ・・・」
 ミサトは浩一の父の臀部をとりだすと、手のひらで淫靡に撫で回した。 

 「ああ・・・も、もう・・・」ミサトが再び性感をつまびいてやると、浩一の父は、再び享楽の音色に溺れ始めた。
 こうして自分に溺れつつ、その快楽地獄からから抜け出そうともがく様子がミサトはたまらなく好きだった。
 男から奪って弱らせ、ひざまずかせるのは何度やってもやめられない。
  
 「なぁに? これを楽しみになさっていたんでしょう? 」ギュッと指先でつねりあげた。
 (まだまだほぐれるわね・・・)指先でほぐれ具合を確かめる。

 「ここ、ヒクヒクされてますよ? 」ギュッとつねりあげ、暖かい手のひらでさすってやる。
 ほんのりと赤くなった男のヒップが、二回目よりも三回目と柔らかくほぐれてゆく。

 「ほら、ヒクヒク、ヒクヒク、ヒクついて、ユルユルですよ? 」人差し指よ中指で窄まりをほぐすように揉みさすった。
 (フフフ、ほぐれた・・・)
 「どうしてユルユルになってるんでしょう? 」両側に引っ張って穴を開いてやる。
 外側は色素沈着を起こし、淫らな色焼けを起こしているが、内側はきれいなピンク色だった。
 ミサトの手入れにかかり、衛生状態はいつでも受け入れ可能な状態を維持されていた。
 炎症はみられない。 フッと息を吹き込んでやると、肉壁が淫靡に収縮した。


 「ほら、どうして? 」指先でピタピタと軽く嫐ってやる。
 「言えないのかしら? 」心持ち深く第一関節まで挿してやり、スポスポと小刻みに震わせた。 
 (あいかわらず・・・イワされるのがお好きなのね・・・ )
 浩一の父は、ミサトの言葉責めにはまっていた。

 耳元に淫らに低く毒づいた。
 「こうして欲しかったんでしょう? 」浩一の父は頬を震わせ、黙って頷くより他なかった。
 「いやらしい・・・ 」脳が甘い毒に犯されているようだった。
 ツルリ、とミサトの長い指が滑り込んできた。
 「アアッ! 」

 「あっ、熱〜い、旦那様のオケツマンコ熱々になってます」
 冷たい。 冷血動物、蛇のような指だった。
 白く、滑らかで長い指が、ツルツルと直腸の中でくねる。
 「もうこんなにヌルヌルにゆるんで・・・ ガバガバで一本じゃ物足りないでしょう? 」
 すぐさまもう一本、押し合いへしあいでトンネル内で蠢く。

 「どう? もう一本? 」
 奥まで突き進んで抜き出すと、更に一本。

 「いやらしいわね。 ほら、三本! 」
 次は三本束になって再び入ってくる。
 「アアアヒッ! 」

 「たっぷり犯して差し上げますからね・・・ 」
 ミサトは三本を巧みに捻りながら、指先でしこりをつまむように弄んだ。
 ゴリッ、と堅いシコリを弾かれた。
 
 「ア! 」
 (フフフ、歌をきかせてちょうだい。 )指先に挟んだまま、細かく震わせてやった。
  たちまち浩一の父は歌い出した。
 「アアア! 」しなびたシンボルの先から、ポタリポタリと透明な滴が垂れだした。

 「あ〜〜、歌ってくださるの? フフフ、
 「歌ってくださいな、旦那様 」
 ミサトが更に指で掻きだすように前後に刺激してやると、
 「ハァ〜アアアア! 」魔法の指が、鈴の中を転がすように快楽の音色を奏で始めた。

 「ほ〜ら、一回・・・ 」クッタリと萎えたシンボルが、ヒクヒクと迸った。
 (ああっ! ヒッイイ! )リンリンと意識がとんでしまうような悦楽だった。

 「フフッ、にかぁ〜い」シンボルをつまんだミサトの指が細かく震えるだけで達した。
 (ああっ! く、くるしいイイ! )何度も弄ばれ、ミサトも慣れたものである。
 ミサトに開拓された後ろの性器は、女の絶頂を味わわせた。
 
 「まだまだ、ほら、三回、」ブチュッ、聞くに堪えない淫らな音を出しながら、ミサトの束ねられた指がゆっくり出入りする。 グツンとシコリを弾かれた。
 「ヒッ〜! 」終わらない、限度のない絶頂が何度も掘り起こされる。

 「ん〜? イイ? さぁ〜〜、フフフ・・・」玉袋が片方の手のひらでヤワヤワと転がされていた。 
 「ホラッ、よんか〜い」ミサトの艶声に合わせて快楽が奥深くからこんこんと沸き上がる。
 グツン。 堅くなったそのスイッチは簡単に指先で探り当てることができた。
 「アウッ! アゥッ! 」どんな男もこの快楽の奴隷になりはてる。

 「いくらでもイケるようになりましたねぇ、旦那様 」終わりのない、醒めることのない夢に閉じこめられているようだった。
 「も、もうけっこうです、や、やめて! 」

 「ん〜〜〜? やめるんですか? 」ギギギ、と玉袋を転がしていた指が爪を立てて会陰部掻きむしった。
 かゆいところに手の届く、ゾッとするような刺激に萎びたシンボルの芯が反応した。 

 「さっきはイカせてくださいっておっしゃったじゃありませんか〜? 」
 「や、やめて! 」快楽の嵐に気が狂いそうだった。

 「高いごお手当をはずんだんですからもっと気持ちよくなっていただきませんと」
 「ひあああっ! 」歓喜と苦痛にサンドイッチ状態だった。

 「ほら、」
 「ほ〜らほら、」ミサトが歌うようにリズムをつけて後ろを前後する指を抜き差しする。
 「あ、アウウウ! ワワワ!」溢れだしてくる喘ぎが止まらない。

 「たまらないんですよね〜? ほら? ほぉら?」前に回した手で、萎びたシンボルを玉袋もろとも手の中でもみくちゃにした。

 「ヒゥッ! 」ジワリと滴が浸みだしてきた。
 「あら、また出てきた・・・」
 「ヒィ、ヒッ、ヒッ・・・」浩一の父はもう、息も絶え絶えに悶絶していた。
 「止まらないでしょう・・・」ビクビクと全身を震わせ、快楽にむせんでいた。

 ほら、ほらほらほら、 ミサトは更に責め嫐った。
 「ああああ! やっ、ヤメ・・・ヒィウ!」どの雄も自分から欲した快楽を最後は拒否する。
 どの雄共もミサトの快楽の強大さに、おのれの器の不釣り合いを思い知らされた。
 あっという間に器は溢れだす。
 ミサトは溢れようが、泣き叫ぼうが、かまわずどんどん注ぎ足してゆく。
 それは予想通りでその先が目的なのだから。
 「と、止めテ・・・ シム・・ 」

 「止めないわ、おおげさですよ、死ぬだなんて・・・イイくせに! 」
 「ハァァ、ヒッ!!」後頭部から背中にかけて、ブツブツと凧糸が切れるような感触が走る。

 「ん〜〜? 死なせないわよ、ほら? ほぉ〜っら! そら! 」
 「アアアー、グッ! 」
 浩一の父はそのまま失神してしまった。


 セミはじっと雄が嫐られているのを感じていた。
 なぜかセミは感じること久しい感覚を味わっていた。
 シビレルような感覚。
 人間の雌の声は甘い音色でセミの鼓膜を震わせた。
 眠くなるような・・・心地よいバイブレーション。
 雄セミは無意識に羽ねを震動させていた。

 ミサトはその気配を敏感に感じ取った。
 セミがレースのカーテンに止まっている。
 ミサトはフワリと立ち上がると、ゆっくりと近づいた。

 ミサトはレースの黒いヒラヒラとした制服を身につけていた。
 上品なラメでチラチラと光沢を放ち、裁断は制服の型紙を使っているようだが、
 素材は情欲を煽る生地を選んで縫製されている。
 胸元はシースルー、下の複雑な刺繍の施された下着が透けていた。
 肉感的な肢体かフェロモンがぷんぷんと立ちこめ、透けた生地に包まれたくなるような
 優美さが浩一の父を悩殺してやまない。
 うっすらと汗の浮かんだ背中が、夕暮れに染まってキラキラと光った。


 セミは押し寄せる妖しい気配に気づいた。
 人間の女が間近に迫っていた。
 心地よさに浸っている間に人間の接近を許してしまった。
 セミはその瞬間、その人間に危害を加えられる予知が働いた。
 ミサトは部屋のカーテンに止まっているセミと意思が通じ合った。
 爪がレース生地にからまり、ミサトが近づいても逃げられず、もがいていた。
 
 「お馬鹿さん・・・」
 ミサトは羽ねをつまんだ。
 二枚の大きな羽を指先につまみ、近くにまじまじと見た。

 雄ね。
 弱っている。
 おまえもイクのかしら?

 ミサトは爪で蝉の尻をくすぐりだした。
 腹から肛門を爪で何度も何度も繰り返し引っ掻くようにくすぐってやる。
 蝉の呼吸が荒くなった。
 ぜいぜいと激しく腹を波打たせ、ミサトの指に何らかの刺激を感じているようである。
 と、蝉は尿を垂れ流した。
 ミサトが手を離すと、蝉は目が見えなくなったように闇雲に部屋の中を飛び回り
 床に落ちるとクルクルと回った。

 「気持ちよかったでしょ?」
 ミサトはツカツカと近づくと、上履きを履いた足で踏みつぶそうとした。
 が、脱ぎ捨てたスキャンティとナイロンストッキングを手に、セミを包みあげた。
 間近にセミを見てニンマリとほくそ笑んだ。

 「行き先は天国よね・・・」
 そう呟きながら、セミを茶色のストッキングと下着に包み込むと、雑巾を絞るようにねじり上げた。
 命を絞り上げているような征服感。 
 堅い甲良の割れる音と手の平にジットリと雄の体液を感じた。
 匂いを嗅いでみた。
 ミサトはウットリと目を細め、それらをゴミかごに投げ込み、壁に掛けられた大鏡を見た。
 浩一の父は尻をむき出した状態でグッタリしている。
 どうせアッチの雄も汚れているのだ。手を洗う必要もない。 

 クルリと振り返ると、
 「旦那様、オネンネの時間にはまだ早いんじゃございませんこと? 」
 ミサトは例の疑似ペニスをスカートの下、腰にゆわえると、股間をとがらせながらベッドに上がった。

 「アワワ! 」ベッドの上で主人がメイドに迫られ後じさる。
 ぼっちゃまが早く帰ってこられるといいですね?
 それともずっとこうしていたいのかしら?
 さっ、たっぷりおしゃぶりしてくださいな・・・
 ミサトは可笑しそうに話しかけながら浩一の父に覆い被さってゆく。


 「ほうら! 」窓からミサトの勇ましいかけ声があがる。
 (ああっ! )クルリと浩一の父は裏返った。

 浩一の父は再び快楽の地獄に突き落とされた。
 この日最大の断末魔の喘ぎは、蝉の鳴き声にかき消されることなく庭中に鳴り響いた。

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メイド 魔性の快楽地獄