転 男転がし
アイは心得たとばかり、そっと客から離れると、ベッドの下に用意した直腸洗浄用のリブキャントを差し出した。
中は人肌に暖められた洗浄液が、たっぷり充填済みである。
「じゃ、そろそろ始めましょうか」
ここでミサトは直腸洗浄を客に施すのだ。
ミサトのプレイはここからが真骨頂だ。
既に二回、いや、シャワー室でも抜き取られているかもしれない。
ミサトは溜まっている客は気前よく何度もイカせてしまう。 何度でもイカせる自信があるからだ。
射精は栗程の大きさがある器官を活性化させ、指による直接刺激に際して鋭敏にさせる布石でもあった。
欲情を煽る焦らしも、絶頂の寸前を彷徨わせる寸止めも、常識では終わっている時点から本格化する。
終わっている状態からイカせてくれと、懇願させるようにし向けていくのだ。
常識を取り払って責め嫐ることで、客は他では味わえない快楽に染められ、従順なミサトの奴隷に墜ちる。
この客は今日もまた、更なるミサトの中毒になってしまうクライマックスを味わわされることになる。
このプレイは、そもそも店のメニューになく、料金もさることながら、オーナー、ミサトから指名された客のみに、こっそりご案内となる。
オーナーもミサトも、指名する客の条件は共通していた。
金持ちで変わり者、を選ぶ。
M属性は関係ない。 SとMは表裏一体、ミサトはどんなS属性の客も裏返しにめくることが出来た。
プレイ時間は無制限。 客が危険な状態になるまでくり返される。
もっとも客は一時間もたたないうちに意識が彷徨い出す。 ミサトはそれを匂い、指先による刺激、囁きで妖しい快楽の園にいざなう。
深い恍惚状態に誘導し、意のままに支配してゆく。
客は意識を奪われ、快楽の底なし沼に深く沈められた状態でミサトの囁きを耳にする。
心地よい鈴の音色のような声だ。
客は夢うつつでミサトのことを忘れられなくなる言葉をたっぷりと注がれ、洗脳された事に気づかずクライマックスを迎え、プレイは終了となる。
今相手をしている客は今日で二回目らしい。
前回のプレイで癖になったのだろう。
部屋についたときから異常に興奮しており、はやくも目がイッテいる。
資質にもよるが、この客は一回のプレイで虜になったくちだろう。
「ハイ、四つんばい、もっと・・・ホラ、もっと腰を高くつきだして・・・そうそう、フフフ、恥ずかしい格好よ・・・」
ミサトはあやしながら、気を送るように、人差し指の先を窄まりに押し当てていた。
「恥ずかしいのが・・・ 」軽くクィッと人差し指が突き立てられた。
「アフッ! 」
それだけで、ミサトの指先から、アナルに痺れるような快感が流れ込んできた。
「気持ちいいのよ・・・ 」
ミサトは軽く突き立てているだけだが、客にはビリビリとバイブレーションしているように感じた。
「アアア〜・・・」股関節に力が入らず、ガクガクと股が震える。
アイは自分の膝枕に顔を埋めて快楽にむせぶ客の頭を優しく手櫛ですいてやった。
「でしょ? OXさん? 」背中から襟足に向かって、すぼめた唇でフ〜ッと息を吹きかけてやる。
「は、ハヒ、ハヒ・・・」今日、客はこれ以上の快楽を望んでいた。
ミサトはこの客に、前回、第三性器の快感をたっぷりと教え込んである。
そのとき客は、初めて知る背後からの絶頂を解放され、随喜の涙を流してよがり狂わされた。
ミサトの自由自在にくねる束ねた指三本に肉筒をほじられ、その快楽は脳裏にくっきりと焼き付けられたに違いない。
内側を嫐られる快楽が癖になった者は、もはやこれぐらいでは癒されない。
快楽を得ながら、すぐ後から禁断症状が追いかけてくるのだ。
客はもっと、もっと、と更なる責めの連鎖を渇望した。
焦らされて、ついには自分から腰を突き出す。
恥ずかしいが、ミサトがご機嫌に笑みを浮かべていると、どんな恥ずかしい格好になることにもためらいはない。
更なる解放と快楽を与えてくれるのだ。
ミサトが無表情になるのを怖れた。
何もしてくれなくなるのだ。
だからミサトのペースに身を預け、身を焦がすような焦らしにも耐えるしかないのだ。
ミサトの意のままに身をくねらせ、苦悶のダンスを踊って、ミサトを楽しませるのだ。
「力ヌイテ〜〜〜・・・ 」
ぷすり、とノズルが突き刺さり、ミサトが手に力を加えると、ブクブクとくぐもった音と共に洗浄液が注入された。
「アッ・・・ 」
ジョロッ、と下腹部、手の届かない奥でノズルの先が液体が吐き出すのを感じる。
洗浄液の刺激にグルグルと腸内が煽動し、悪寒に肌が粟立った。
「ウエヘッ・・・」二回目とはいえ、逆から液体が流れ込む感覚に肉体は違和感を示す。
「アンン・・・ 」
客が前に逃げようとするのを、タマ袋を掴んでいさめる。
「ダメ・・・ 」
クルミを弄ぶようにコロコロと手の中で転がし、グイッと引き寄せた。
「逃げてはダメよ、OXさん・・・ 」手の中で二つのクルミをすりあわせ更に手元に引き寄せる。
「アアアッ! 」片手でリブキャントをググッと押しつぶし、液を更に注入してゆく。
「ンン〜〜、フフフ・・・」
アイはじっと目を見張った。
ミサトがリピーターを更なる快楽地獄に落とし込む手管を盗む為に。
「ハッ、はぁぁ! 」ミサトがリブキャントをアイに返すと、腰を丸め、上半身を起こそうとした。
「ま〜だよ、まだまだ、我慢してくださいね〜、今日は少しきつめにしますから」
「えっ・・・」
ミサトがいさめ、アイは客の頭を膝枕に優しく押さえ込んだ。
「ムブゥ・・・・ 」太股に客の頭を挟み、上から押さえた。
「まだですよ〜 」アイもあやすように声をかけた。
アイは脇の化粧箱から二つめのリブキャントをミサトに手渡した。
ミサトが使用する洗浄液には、例のクスリを混ぜておいた。ミサトの指示だ。
客は知るよしもないが、このクスリは直腸の粘膜から迅速に吸収され、快楽に不要な緊張を取り除く効果があるようだ。
これを使われると、どんな男も最初から指が何本でも受け入れられるようになる。
そして、いきなり忘れられない程の快楽を覚え込まされるのだ。
たった一度で癖になり、日常の生活でも、どうにも我慢できない飢えに悩まされるようになり、ミサトの常連衆に仲間入りする。
「ンフフ・・・まだ入るわよ・・・ 」ミサトは手を客の股間に潜らせ、堅くなったシンボルの先から、フグリの下、窄まりへと、爪を走らせくすぐった。
「力ぬいて〜・・・ 」
「ああ・・・」客は更にガクガクと力が抜け、ミサトは更に液を注入してやった。
ミサトに注ぎ込まれた量は前回を上回り、容量は限界に達しつつあった。
「ん・・・もうちょっと、ン・・・全部入ったわ」グチュ、ノズルを抜き出すや、窄まりを指で押し込むように揉んだ。
「ああっ、ひっ! 」
「はい、固く閉じましょうね〜、離すわよ? 」
客が精一杯閉じると、ミサトは指を離した。
「ハイ、ラクにして〜 」タイミングよくアイがくわわった。
アイは客の頭を押さえつけ、太股の間に挟んだままである。
「ああ! 」客はガックリとアイの膝枕に突っ伏した。
「フフ・・・深呼吸してくださ〜い、フフフ〜」アイの股間に突っ伏した客はアイの雌臭を胸一杯吸い、柔らかい太股に頭を挟まれ脳を無防備な状態にされる。
アイの体臭もミサトと同様、男を陶酔させる匂いがした。
ボウッ、と意識が霞み、心臓の鼓動が早くなる。
しかし、ウットリと浸ろうとしても、液が腸内の粘膜を刺激する。
ミサトに注がれたソレは溜まらなく熱くなり、ジンジンと疼いてくる。