承 挑発

 

深夜の淫らな奉仕

 浩一は後からメイドが背中を流す、と言った言葉を信じて、体を洗うのは後にして、股間だけかけ湯ですませると、浴槽に浸かって待つことにした。

 浴室の小さい窓から外で鳴く蝉の声が聞こえる。セミも眠りにつくのだろうか。鳴く声は初めの頃に比べ、心細くなったような気がした。

 今何時だろう。大分、時間がたったような気がする。広く、制約を取り払って設計された浴室ではあるが、時間を確かめるものは何もない。

 浩一が最新バスの機能をあちこちと弄って気をまぎらわせていると、脱衣室にヒタヒタと人の気配がした。
  メイドが戻ってきたのだ。
 
 最初はメイドが初めて背中を流しにきたときの気分を想い出したが、今は違った。メイドも浩一も、これからここで起きる淫らな展開を確信していた。
 
 背中を流すだけで済むはずがない。

 メイドは何をしてくれるのだろう。ひょっとして・・・
 妖しい期待が、浩一を包み込んでゆく。
 その期待に煽られるように浴室はむせかえり、浩一はのぼせたように頬を赤くしていた。


 突然、浴室内の照明が落とされた。
 はっとした浩一だが、すぐにメイドが故意に行ったことだと悟った。 脱衣室からの明かりだけとなり、浴室はほの暗い妖しい空気に満ちた。浴室のガラス戸にボンヤリとメイドの姿が浮かぶ。
脱衣室のほうからメイドの声がした。

 「このほうが恥ずかしくないでしょう? 」
 メイドのシルエットが身に纏ったものを脱いでいるような仕草で蠢く。  
 深夜とはいえ、浴室の外ではセミの鳴き声が響き、浩一の妖しい期待は不安をはらみつつ膨れあがっていった。
 「失礼します」
 浴室のガラス戸が静かに開くと、メイドはローブを脱いで浴室に入ってきた。
背後から脱衣室の照明をバックライトに女体の淫靡な曲線をくっきりと強調しいた。
 
 メイドはシルク地の黒いミニスリップという出で立ちのようだ。口にくわえたヘアピンで後ろ髪をアップにまとめながら、浴室で不安気に見つめる浩一ににっこりと微笑んでやった。
筋肉にほどよく脂ののった脚線美が浴室の照明にしっとりと光沢を放つ。ピタピタとつま先から浩一に近づいてくる。
 メイドの胸は、突き上げるようなボリュームで、身につけているミニスリップの生地はキチキチに張りつめていた。胸のレースはメイドの白い肌を透かし、その目映い白い肌は暗い浴室内であっても、くきりと浮かんでいた。薄い生地がメイドの乳房の先を小さく、くっきりと浮かび上がらせていた。  
 「先にシャワーを浴びて汗を流してしまいましょうか」
浩一を先に浴室に立たせると
 「こちらにいらっしゃい」
 浴槽に肩まで浸かっている浩一に向かって白い腕を差し出してきた。
 メイドは浩一をシャワーの前へと手招きする。
 薄暗い中にメイドの笑顔と白い手がヒラヒラと舞う。
 
 浩一は催眠術にでもかかったように、メイドに従った。
 お湯からあがった浩一の股間にそそり立つシンボルを見てもメイドは気にしていないようであった。浩一も今は全く気にもならない。
 二人の関係にゆっくりと変化が表れてきたのだ。
 メイドは身振りで浩一をシャワーの前にせき立てた。そっと、浩一の躯に手を添えると、そのまま静かに浩一を風呂椅子に座らせる。
 浩一の正面には上半身が胸まで写る大きさの鏡を備えたバスラックが取り付けられている。そこには暗がりの中、男と女の肌が濃い影に浮かんでいた。

 メイドがお辞儀をするように軽く上体をかがめ、シャワーのコックをひねり、湯加減を調整する。風呂椅子に座った浩一の目線の高さにメイドのミニスリップから突き出たヒップが迫る。
丸くなめらかな質感をたたえたそれは、中心からその谷間の奥に食い込む黒い生地によって、冷徹に分断され、美しい左右対称を誇示していた。メイドの小さなTバックは両サイドが紐タイプで前は肝心の箇所がレースになっていた。紐は引くと簡単に解けるようにリボン状に結んであり、男と女の必要に応じて、脱がずにはずす、こともできるようにデザインされていた。

 女の象徴を限界まで小さく覆う,この見られることを充分に意識して縫製された布きれは、そのラインからメイドの匂い立つような雌のフェロモンをまき散らしていた。

 浩一の体にシャワーを浴びせると、あのときのようにメイドはスポンジにたっぷりとボディソープを含ませ、背中から軽く撫でるように擦ってくる。

 そのまま、浩一を泡まみれにすると、メイドはスポンジを使うのをやめ、直接、素手を滑らせてきた。
 後ろに立って浩一の肩はくすぐるように指先を這わせ、かがんで後ろから浩一の頬にキスを放った。

 メイドの唇がヌラヌラとそのままうなじに向かい首筋から肩をつたってゆく。両手の平でボディソープをはらうように撫でながら、その後に唾液をたっぷりとなするように唇が滑ってゆく。
 軽く前歯を当ててくるので、痺れるような刺激があり、それは線を描くように浩一の体に性感を刻んでいった。

「ああ・・・ 」声が漏れてしまう。
 肩胛骨のあたりでメイドの唇がチュッと一吸いしてパッと離れた。メイドの唾液だろうか。熱い粘液がタラリと背中をつたうのが分かる。

 背中を軽くあしらった後、うなじ、肩、腕を上げさせて手の平で
 ボディソープを擦り込むように撫でてくる。
 脇の繊毛を軽く掻かれると笑いたくなるような疼きが走る。
 だんだん浩一の目は薄暗がりに慣れてきた。
 
 バスミラーに写る、自分の後ろにメイドが隠れるように立っている。その後ろから、メイドの白い腕が、絡みつくように、浩一の胸に回り込んできていた。

 初めて背中を流してもらった時よりも今回はより大胆に仕掛けてきた。
 脇の下からゆっくりとメイドの指先が回り込んでくる。
 期待に浩一も息が乱れる。
 例によって指先が浩一の乳首を捉える。
 メイドが軽く力を込めてやると、早くも狂おしい期待にシンボルがぴくぴくとのけぞっていた。
 「フフッもうビンビンね」
 「え? 」
 メイドの口から思いも寄らない言葉が漏れたので、聞き返してしまった。
 「こ・れ・・・ 」そう言ってメイドの指先が乳首を人差し指でクルクルと弾くように擦ってきた。

 両胸になにか堅い豆をくっつけているような異物感が感じられた。甘い官能的な刺激に、疼く乳首が堅く凝っているのだ。

 メイドは乳首のことを言っていたのだ。
 「ん、はぁ・・・ 」すっかり乳首の性感を開発されてしまった浩一は、鼻にかかった声を漏らす。
 
 「フフ、」メイドは浩一の女のような反応にクスリと笑いを漏らした。

 そのまま、両手はゆっくりと焦らすように円を描きながら、浩一の下半身に向かってゆく。
 淫らな期待に浩一のシンボルは真っ赤にそそり立ち、メイドの指先を今か、今かと待ちわびた。

 指先がヌルヌルとヘソをほじるように撫で、更に降りてきた。
 浩一は全身に期待をはらませ、ハァハァ、と口から息をせわしくはき出している。
 
 ついにメイドは指先に熱く、堅い浩一のシンボルの突端を感じた。
 ニヤリとほくそ笑むと、その長さを楽しむように、指先をスゥーっとなぞらせてやる。

 「あら、あら、ぼっちゃま〜」
 フフフと笑いながら軽く手の甲で擦ってやると、浩一は息をつまらせて反応する。

 「いやらしい」ぼそっとメイドは低く漏らす。
 その一言がジ〜〜〜〜ンと浩一に甘い疼きをもたらした。
 その疼きはシンボルからメイドの指先に伝わってゆく。
 メイドは浩一の微妙な変化に満足しているようだ。羞恥心が快感になりつつあることについて。
 自分の体に意外な変化が表れてきたことに浩一は気が付いていないのだろう。メイドの濡れた唇はぞっとするような笑みがうかべていることさえ・・・
 メイドには何をされても気持ちいい。何をされても・・・何を言われても・・・・・・

 これから始まる指先の動きに浩一は全身の感覚を集中させた。
 
 「本当にいけない子ですね! 」
 なぞっていた指が根元から袋に爪を走らせてくる。
 「あ、あ、ア・・・」
 指は足の付け根をクルクルとくすぐりながら、シンボルにつたない刺激を送ってくる。
 「フフフッ、いけない子は後回しですよ」
 えっ?、浩一の期待を裏切るようにして、指はだんだんとシンボルを離れてゆく。

 「・・・」またしてもメイドの大好きな焦らしである。
 メイドに誓いさえ立てていなければ、押し倒してでも好きにしてやりたいところだが、その気持ちをせせら笑うように、甘い官能の痺れが毒のように浩一の人格を悩ます。

 体が動かない。メイドに熱い迸りをいやと言う程、ぶちまけて、屈服させてやりたい。こんな罠を仕掛けたことを後悔させてやりたい。
自分が味わった以上の屈辱を与えてやりたい。
ムラムラと怒りがこみ上げてきた。
 しかし、浩一の人格を縛るメイドへの誓いは驚くほど強い締め付けで肉体を拘束する。ギリギリときつく肉体に食い込み、浩一の行動を完全に制圧しているようだ。
 ・・・動けない。金縛りのようだ。
 焦らされる苦しみが浩一の怒りを目覚めさせたが、若い浩一は知らない。
 怒りは火に油をそそぐように欲情を煽り、ますます精神を崩壊へ追い込んでいくことを。


 メイドが静かに浩一の斜め前に移動した。
 浩一の脚の付け根をやさしく撫で、太股を指先でなぞる。
 ハァハアァと、息を荒げる浩一にメイドは素知らぬ様子で、うつむいている。髪の毛の影になって目元は見えないが、口元は微かに微笑していた。指先の動きは浩一の体の中をかき混ぜるようにゆっくりと円を描いてゆく。

 メイドの指先が忘れ物をしたように引き返してきた。
 手の平が袋を暖かく包む。
 「いい子にしていたら、」メイドが虚をつくように言葉を掛けた。

 「あとで、ご褒美をあげましょうね」浩一にではなく、シンボルに話しかけるようにメイドは亀頭をいい子、いい子、と撫でてやった。

 その言葉に浩一の中で変化が進んだ。
 もう、この身をゆだねてしまえ。
 いい子にしていれば、ご褒美がもらえるのだから。
 激しい情欲に身も心も捉えられた今、浩一の怒りは淫らな期待に変わり、期待が浩一を従順にさせた。
 浩一は素直な子どものようにコクリと一回頷いた。
 
 (だんだん、わたしの意のままになってきたわね)
 メイドの優しい目は、素直に自分に従う年下の青年の変化を逐一観察していた。


 メイドは浩一の脚を取ると、無言で脚を前に伸ばすよう促した。
 今回、浩一は素直に従った。前に投げ出した脚の付け根はメイドからも丸見えである。泡をかぶったシンボルが上に向かってヒクヒクと喘いでいた。
 
 前回は勃起したシンボルを隠したくて、頑としてメイドに逆らった浩一だったが、今回は浩一に変化があった。

 メイドが見ている。ウットリと満足げなまなざしで、伏し目になった瞳に長い睫毛が美しい。
 その視線が熱く浩一のシンボルに注がれるのが感じられる。
 ジンジンと伝わってきそうだ。
 羞恥心が甘く官能を疼かせる今、メイドの視線さえ愛撫に等しかった。
 ・・・ああ、見られている・・・恥ずかしいのに、この気持ちよさはなんだろう、と、ぼんやりした頭で思う浩一であった。

 メイドの指が浩一の太股、膝、ふくらはぎ、じわじわと滑ってくる。脚がこれ程感じるとは意外だった。
メイドの指は魔法でも使っているかのように、その一本、一本の指先から快楽の信号が流れてくる。それは遠ざかるシンボルに向かって送られ、シンボルはアンテナのようにそれらを受信する。
 弱いツボを指が滑ると、シンボルの芯がズキズキと疼く。
 メイドの白魚のような指が泡をかき分けながら、暗い浩一の脚の表面をゆっくりと滑ってゆく。
 男の性感帯を次々と中継しながら、ゆっくりと。
 女の指先の下で浩一の性感も跡を追うように移動してゆく。

 メイドがくるぶしを掴んで、グイッと持ち上げる。
 重すぎないように浩一もそれに従うが、メイドは意外に力があるようだ。足首を掴まれたとき、そのがっちりした握力が一瞬、浩一をドキリとさせた。

 

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メイド 魔性の快楽地獄