「ほぅら・・・」
薄暗い室内に、丸められた紙くずのような浴衣を身にまとった裸身が汗で光っていた。
アイは、ぼうっと、口を半開きにしたまま鏡を見ていた。
照明の薄暗い部屋で、鏡の中のミサトの目は、キラキラと底光りを帯び、猫の目のようだった。
アイはきれいな宝石を見るようにまぶしそうに、ミサトの目に魅入っていた。
浩一のときと同じく、媚薬のせいで、ミサトが輝いて見えるのだろう。
「フ・・・いやらしいわよね〜〜」ミサトは、両の手の平を、ゆっくりアイの下半身に這わせると、性感を高める紋様を描き始めた。
メイドらしくない、なめらかな手が、油の上を滑るように汗ばんだアイの肌を這い回る。
鏡の中のアイの裸身がうねり出す。
きつく食い込んだ組み紐が鮮やかなコントラストになっていた。
「あ・・・あ・・・」
アイにとってミサトの手の平は、暖めたアロマオイルのように、肌になじむ。
暖かいオイルに塗り込められているような気分だった。
ミサトの手によって、マシュマロのように柔らかくほぐされてゆくような感覚だった。
「どう、こんな格好のところを、浩一に見られたい?」
アイの後ろに位置したミサトは、脇の下からアイの両乳首に手のひらを重ねた。
「ああっ!」
手のひらでお椀を作り、アイの両乳房を下から包みこんだ。
くぼんだ手の内では乳首をコロン、コロンと転がされる。
ときおり胸のすきまをなぞるように、指があばらをくすぐる。
「あ〜〜〜・・・」
優雅な仕草で人差し指と親指が、乳首のピアスをつまんだ。
「あぅ、くっ!」
ピアスをつまみあげられた。
「フフフ・・・」
「ウ、ウ、ウ、ウ」
アイは全身を震わせる刺激におびえた。
痛みかもしれない。が、快楽も否定できなかった。
「どうしたの? アイ?」
「あ、あ、ああ、」ミサトに尋ねられると、快楽に思えてきた。
どうしようもなくたまらない疼きに違いない。
ミサトはそのつもりなのだ。
声に出したら、痛みに変わりそうでこわかった。
「き、キモチイイ!」こみあげてくる快感にあらがえなかった。
「そう? これでも?」うれしそうなミサトは、更にピアスをひっぱった。
「ん〜〜〜〜〜っ!」
「いいのね? これが?」
もうアイは目をつぶってうなずくしかなかった。
ミサトに執拗にいじられ、乳首はエンジ色に腫れ上がっていた。
「アア〜〜〜ッ!」
プツッ、と指が離すと、乳房はもりあがったままだ。
ミサトはイチゴを押しつぶすように指を突き刺した。
「痛いより気持ちいいんでしょ・・・」
「アアッ!」
その指達は、毒蜘蛛のように妖しく性感の糸をつたって下半身に降りてゆく。
「ヒッ、モッ!もぉ、しっ、しぃひ〜」
アイの目の前でもう一人の自分が、ミサトになぶり物にされている。
嬲られているのは、鏡の中で縛られているもう一人の別人。 なのに、自分は誰かに自由を奪われ、たまらない快楽に溺れている。
鏡の中からメイドが語りかけてくる。
メイドは、自分が口をきけなくても、表情でわかってくれる。
こちらの気持ちを読み取って、悪魔のように焦らし、女神のように絶頂へと導いてくれる。
自分と自分、鏡を見ているのではなく、不思議の国のアリスにでもなったような気分だ。
不思議なメイドのいざないによって、心の中の迷路に迷い込んでしまった。
ミサトがばらまく快楽をたどってゆくうちに、後戻りのできない状況にみずからはまってゆく。
「見られて、それから・・・」
股間に両手をまわし、しばし、その周辺をくすぐってやる。
ゆっくりと絶妙なタッチで爪が滑ってゆく。
「ヒ・・・」
「だめよ。目をそらしては。 ほぅら、アイ、見てごらん。鏡の中を」
ミサトの息が鼓膜をくすぐる。すぐそばで囁いているのだ。
「アアアアゥ」
鏡に映る自分は、顔をゆがめ、泣き笑いのはっきりしない表情だった。
取り繕うとしても、快感に顔の神経が反応してしまう。
「あ・・・ふ・・・」
巧みに焦らし、アイの息が乱れるのを煽ってやる。
アイの呼吸が荒くなり、帯で縛られた体がギシギシと激しく身もだえする。
淫らな痴態は、自分の意思ではなくミサトの意思に従っていっそう乱れてゆく。
突然、鋭い快楽が、股間の隙間を割って入った。
「フゥウッ!」
ミサトの指が肉ビラをパックリと開いた。
アイの恥部はミサトの指二本であっけなく、なんの前触れもなく開いた。
「アア〜・・・・・」
アイのピンク色のスイッチは、手探りのミサトの指先にとらえられていた。
爪がかすかに触れて、何度かなぞられていたソレだ。
「ンンッ!」
アイは、ほんのりと赤く紅潮した頬を震わせ、弱々しく首を振っていた。
生まれたての雛のようにアイはか弱く震えていた。
「イキそう? 」
ゆっくりと指先がアイの内外を出入りする。
ピタ・・・聴覚に粘りつくよう指先のタップ。
「ファァ・・・ファ・・・」
今までと一転して、優しい、甘い、指使いにアイは酔いしれた。
「こんな格好のまま、浩一とはめまくるっていうのはどう? 」
ピタリ・・・ミサトは浅く指先が隠れる程度に指をくぐらせてくる。
「あの浩一の太い、たくましい腕に抱えられて」
指の腹で入り口の粘膜を執拗に押しもまれる。
「あの腰が何度も何度もうちつけられて・・・」
クィッ、クィッと指が屈伸する。
「あ!ぁあ!」
(キスしたら火傷しそうな唇)耳を噛まれ、息づかいと一緒に囁かれた。
その唇から漏れる熱い息使いに、頭が鼓膜になったように揺さぶられた。
「想像してごらん。ホラ・・・」まぶしいミサトの瞳が、網膜に幻覚を焼き付けてくる。
「鏡の向こうに見えない?」浩一が見えた。
分厚い浩一の背中が。
ひきしまった尻。
浩一が窮屈に丸められたアイに覆い被さり、激しく背中を波打たせている。
アイの目は鏡の中の幻覚に魅入っていた。
「浩一のお尻がみえる? そのすきまにゆれているのはなぁに?」
浩一がアイに腰をうちつけるたんびに、ソレはもげんばかりに振れた。
「目をそらさないで言ってごらん」浩一とつながっている自分からは絶対に見えない角度が、鏡の向こうに見えた。
「見えるでしょう」アイは目をこらした。
「袋に入ったモノ」そう言われると、アイにもソレが見えた。
(言ってごらん)鏡の中の自分に対して、必死になって言葉をかき集めていた。
「ほら」ズキズキと下半身から熱い鼓動が打ち寄せてくる。
(あああ、き、きっ)浩一とつながった時の感覚がはっきりと蘇った。
「ホラ、」ミサトは指二本を使い、アイの中で巧みな動きで快楽をはらませた。
「あっ、あっ、あっ、」駿馬のようにたくましい浩一の背中が、アイの上で波打っていた。
「言ってごらん」浩一とつなっがっている今、この瞬間を支配している「声」が命令する。
「ホラ、アイ?」ズンズンと激しい快楽のうねりが、背骨を通って駆け上ってくる。
「きっ、キッ、」つばを飛ばしながら、アイはソノ言葉を口にしようとした。
「そう・・・何?」その先を、支配している「声」が優しく促した。
「キンタマァ〜」アイは羞恥に目をつむって叫んだ。
くっくっくっ、とミサトは噴き出した。
「あああ〜〜ああああ〜〜」
アイはミサトの言葉に惑わされ幻覚に溺れた
鏡の向こうの世界で浩一が自分を犯している。
昼間に嫐り尽くして楽しんだ相手が、今度は自分を嫐り犯しているのだ。
浩一に犯されている。
浩一が入ってくる。
出て行く。
入ってくる
出て・・・
もっと奥まで入ってきて欲しい。
ずっと奥にとどまっていて欲しい。
その快楽はアイのもっっとも望む寸前で出て行ってしまう。
もどかしかった。
そして、長い快楽だった。
焦らされて気が狂いそうな快楽に酔った。
「ア・ア・アアゥ」
もっと奥まで迎えようとしても、すぐに外へ出てしまう。
ミサトが引き離してしまうのだ。
食いちぎりたくなるほど憎らしいミサトの指使いだった。
「フッフフフ! あの子、興奮して、ますますおまえにハマるかも? 」
「アッ、ンンンッ!」
ピタッ、ピタッ、ピタッ、とミサトの指が、快楽に溺れるアイの中を出入りする。
「フッ、フッ〜〜、フッ、ファッ!」
「動けないおまえを、後ろからひたすら精魂枯れるまで突かせまくるってのは? 」
「はっ、はっ、はっ、ハッ、」
「こんな感じでっ!」
いきなり激しい指使いでアイを上下させた。
クチュクチュクチュ・・・感電したようにアイは全身をこわばらせた。
「ヒッ、ヒッ、イッ、イクッヒクッ、ヒッチャ!」
「ん〜?」その寸前、ミサトは指を抜き取った。
ミサトはアイにかけた魔法を解いた。
浩一の幻が、一瞬にしてかき消された。
「わぁぁ〜〜」アイは思わず絶叫していた。ミサト残酷な忍び笑いが耳にこだまする。
「わぁぁ〜」浩一を奪われ、今にも泣き出さんばかりの声だった。
「フフフ、イキそうだった?」
ピタピタピタピタピタ、再びテンポを早められると、アイは口をゆがませて腰をくねらせ始めた。
「アアアッ!」
「フフフ・・・」
アイがイキそうになるのを見計らってテンポは緩やかになり、絶頂を奪った。
「アアアッ、ヒッ〜〜!」
「こんなところをみられながら犯されるのもおつなもんじゃない?」
アイは、幾度となく絶頂を奪われ、ガックリと頭をたれた。
ミサトはアイに自分の痴態を見せつけてやりたかった。
アイの髪を引っ張って頭を起こしてやる。
「浩一を好きなのでしょう?」アイの耳元に囁いてやる。
「わたしから奪ってごらん、浩一を」その言葉に、アイのまぶたはピクリと反応した。
「わたしは浩一の料理法について、おまえを使って予行演習といきましょうか」
「アイ、よ〜く覚えておくのよ」ミサトはアイの前にまわり、両手でアイの乳首のピアスを嫐りながら毒づいた。
「わたしが、浩一をヤルときはこうなるの」ピアスをチン、と弾かれると、アイはビクンと震えた。
「目を開けなさい。ほら、みてごらん!」あぐら座に縛られた股間を、更にグイと開いてやる。
指二本を無造作に差し込んで開いてやる。
「おまえのオマンコ、ぱっくりくわえ込んでいるわよ」
パクッ、と開いては、閉じて、束ねた指を挿してピストンしてやる。
そのたび、鏡の中のアイは、泣き笑いの表情で腰をくねらせていた。
「パクパク言ってるじゃない! いやらしいっ、」ミサトの歯がギラッと光る。
「すっかりチンポくわえ込むのがうまくなったわね〜」聞くに堪えない音を聞かせてやる。
「もう、指じゃご不満かしら?」指を覆う粘液を弄びながら、アイの口元に運んでやる。
「ね? こんなのじゃ、もうだめ?」アイはミサトの指をおしゃぶりした。
「はしたないコになったものねぇ〜〜」ピチャピチャと指をしゃぶる様をミサトはあざ笑った。
「人が手間暇かけて料理しているところを、横からつまみ食いするような意地汚い子になっちゃったわけね〜」
「あぅ〜〜」アイが惚けた返事をすると、ミサトはアイをソファに突き放して立ち上がった。
「いいわよ、!じゃ、今日はこの旦那様のお気に入りを拝借しましょうよ!」
ミサトは谷川に運ばせたコスメボックスを開けた。
中にはおどろおどろしい責め具が入っていた。
薬品、組み紐、バイブ、金属の器具
ミサトはこういったコスメボックスを何種類か使い分けていた。
あいにく、浩一の父専用である。
谷川が置き場所を知っているのはこれだけだった。
「これ!」
ミサトは浩一の父を責める為にあつらえた疑似ペニスを手にしていた。
それは例の凶器だった。
グィッと曲げ、ミサトが手を離すと、それはバネ板のようにバツッ、と跳ね上がった。
「(クスクス)どう? これなら何も不満はないはずよ?」
ミサトの歯がギラギラと光る。
ミサトは腰に頑丈なストラップを装着する。
「あ、あ・・・う、」
アイはイヤイヤと首を弱々しく振った。
ここに及んで初めて拒絶の意思を表した。
ミサトはかまわず一歩、一歩アイに近づく。
下半身が下着姿のまま、メイドは看護婦に迫った。
その足取りは舞台役者のように、芝居がかっていた。
「だんな様のオケツマンコが随喜の涙を流す名器!」
ミサトはアイをいたぶるように腰をスイングしてみせる。
「やぅ!」言葉で拒むことができなくなっていた。
「旦那様はね、これなしではもう生きていけなくなっているの」
「おまえも味わうがいいわ!」
「旦那様が狂った、悪魔の逸物!」
「あああんっ! 」 アイはミサトの腰を遠ざけようと必死に身体をよじるが、ミサトに荒々しく腰を抱えられ、なずがままだった。
体を拘束する紐が、キリキリときしみ、柔らかい肉に食い込んでゆく。
暴れれば、暴れるほど自分自身を苦しめることになる。
「素直になりなさい、アイ、おまえはこれがどんだけイイのか知っているくせに」
「私を怒らせてこれを使わせたかったんでしょう?」
「ひ・・・ひ・・・」
「これが忘れられなかったんでしょ?」
「ち、ちが・・・」
そーら! ミサトのかけ声が遮った。
「あああぅ!」拷問具のような先端が花びらを押しつぶしてゆく。
「ちょっとおおきいから最初は・・・」
「ゆっくり召し上がれ・・・」ミサトはゆっくりとアイを拡げながら犯すつもりだった。
「ヒ・・・ひ・・・」
真っ赤な肉ビラは、無惨にもゆがめられ、ソレは蹂躙してゆく。