「峰よく言えたね〜〜〜ふふふ、」
玲子は峰の頬にチュッとキスをした。
カンナも満足そうに笑みを浮かべている。
みれば、二人は少し汗をかいているようである。
上気した頬はほんのり紅く、
目は爛々と輝いている。
汗にしっとりと光る額が美しい・・
汗の匂いに二人の香水の薫りが溶けあい、
部屋中に充満していた。
この匂いは浅い息を繰り返す峰の嗅覚を愛撫し、
肺に染みこみ、血液にまざり、脳に到達した。
匂いは妖しい欲情の霧となって思考を満たした。

カンナは額に張り付いた髪の毛を指で梳いて払うと、
スッと立ち上がり、女王のように凛とした態度を取り、
「いいわ、お望み通りイカせてあげる。」
「ありがとうございます!か、カンナお姉さま!」
「よかったわねぇ、峰、おめでとう。」

どうやら、完全に骨抜き状態ね。
ふふふ、これでおまえは完全な奴隷になるのよ。
堕としてあげる・・身も、心も、更に深い快楽地獄へ・・・
ふふふ、覚悟しなさい・・・
玲子は悪魔の笑みで峰の後ろでほくそ笑んだ。

「着ているものを全部脱いで裸になりなさい。」
もはや、自我を失った峰にはなんの抵抗も
感じられなかった。
「はい・・」
峰は力が入らない四肢を使って
ノロノロと服を脱いだ。
ズボンを脱ぐ際、峰は脚に力が入らず、
立てなかったので、
「も〜〜う、焦れったいわねぇ、」
玲子が峰をソファーに寝かすと、
そのままベルトをはずし、テキパキと脱がしてしまった。
トランクスは残ったままである。
「ふふ、よかったわね、峰。玲子お姉さまにお礼をいいなさい。」
「ありがとうございます、玲子お姉さま。」
「この次は自分でやるのよ〜〜峰」
この次が楽しみね。ふふふふ。
「はい、玲子お姉さま。」

ふふふ、すっかり従順になったわ。
カンナは冷たく鼻で笑うと言い放った。
「最後は一人で脱ぎなさい。いい?」
「はい!」

峰は裸でソファーに寝かされた。


今や峰はまな板の上の鯉である。
下ごしらえは念入りに終えたばかりである。
二人の美女は妖しい笑みを浮かべ
食材をさばきにかかる。
さながら、活け作りを得意とする腕利きの料理人のように。

彼女達の包丁は、その魔性の快楽で男を虜に堕とす白い指である。

料理人は一目で食材の善し悪しを見抜き、魚のツボを確実に突き、
仮死状態にした後、白く光る包丁で堅い鱗をやすやすとこそぎ、
体内に潜らせ、冷たい刃を滑らせる。
鯉は生きたまま内臓を抜き取られ、
身を削がれても尚、生きている。
伝説の料理人は頭から下が骨だけになった魚を水槽に戻し、
泳がせてみせたという。
包丁の背で水槽の縁をトン、トン、と叩いてやると、
そのリズムに合わせて水槽のなかを泳いだともいわれた。

玲子とカンナの包丁さばきも伝説になりつつある。
その技はどんな男もまな板の上でおとなしくさせ、
抵抗しなくなったところで、
その白い刃は快楽を与えながら、切り刻んでゆく・・・
切れ味は鋭く、滑るように自在に切り刻んでゆく。
切り刻まれるほどに快感は強くなり、
男は悶絶しながら、快楽に自らその身を捧げ出すようになるという。
男は中身を抜き取られ、骨と皮だけになっても
彼女らのリズムに従って泳ぐといわれる。


そんな彼女達の前、自分の会社の商談室で、裸でソファーに
仰向けになっている峰は
彼女達の念入りな下準備によって、自我を放棄し、
二人の魔性の指にみずからその身を捧げだしている。
峰は二人の術中にはまってしまった。
完全に手の内に堕ちたといってもいい。


カンナと玲子が峰に施そうとしているのは、
峰に快楽を与えながら、更に深い暗示をかけ、奴隷として調教し、
自分達に絶対服従を誓うよう誘導し、それを生涯焼き付いて消えないよう、
心に烙印を捺すことである。

彼女達の手に堕ちて、心に奴隷の烙印を焼き付けられた男は数知れない。
男達は彼女達の魔性の快楽を与えてくれる白い指先の虜になり、
彼女達の指先からでる、見えない魔法の糸に絡め取られ、
縛られ、操られて生きる、操り人形になるしか、生きる道はない。

彼女達なくして生きられない身体に調教され、
自分の考えを放棄し、彼女達から離れることもかなわず、
麻薬中毒患者のように快楽に溺れ、
彼女達の作り出す快楽地獄の世界を彼女達を求めてさまようことになるのである。
奴隷に堕ちた男は、みずから甘美な快楽地獄の住人となるのである。






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